勿忘草の花束
オルキアス:(酒場から立ち去った後。森へと通ずる道をあちらこちらと見て回り、そうしてようやく貴方を見つけるのだろう。)
(靴音と荒んだ息、それから、)
ナイゼル:(振り返らない、なんとはなしに誰かはわかるから)なぁんだよ、追いかけて来たのか?
オルキアス:見ッ………つけたぞォォォオオアアアアアッッ!!!!(そんな叫びと共に赤色が駆けて来る…………拳を構えながら!!)
ナイゼル:ばっかおい!!!(回避チャレンジ!!!)
オルキアス:ナイゼル貴様ーーーーーッッ!!!この不義理者がァーーーーーッ!!(HIT11の拳が迫る!!避けられるか避けられないかは……相手次第だ。)
ナイゼル:おいっ!待てッ!!アレには深い事情と訳があ、
(ぶっ飛んだ、受け身を取って起き上がる。決死ってことも無い)
オルキアス:はぁ……ッ はあ………ッ!!(肩で息をする。その後深呼吸をして、取りあえず改めて相手を見遣った。)
はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜……………。(深い溜息。)
ナイゼル:(その一連の流れを見てから)(拳骨)
オルキアス:あだッ!? なッ…… 何するんだ不敬者ッ!!(拳骨を食らった部分を手で押さえながらぎっとナイゼルを睨み付けた。)
ナイゼル:殴る奴があるか。まあ不義理は謝ってやらんでもないが?
オルキアス:なんでそんな上からなんだよッ!!貴様……あの場に居たのは僕だけじゃあないぞッ!!
その分を纏めてお前に返してやったまでだッ!!
ナイゼル:ニッカ君シャスール君辺りは来てくれたかな〜と思うが……あ〜いや、これも私の予想だからもう一寸少ないか?
オルキアス:店の手伝い含めて15人ぐらい居たぞ。
ナイゼル:……う、うっそだあ。いや、マジ?
オルキアス:何故僕が其処で嘘を言わなくちゃあならないんだ。なんだかんだで色んな者達と話をしていたんだろうお前は。
ナイゼル:ま〜そうだな。取材もしてたし、個人的にも色々喋っちゃいた。が、そんな集まる程か?
オルキアス:フンッ まあちょっと覗いてみたり奢りに釣られた奴も居るだろうがなッ!!イルヘリオ様だって………
ナイゼル:で、お前も来てくれてたって訳か?
オルキアス:ど、どんな面をして森に向かうのか一目見てやろうと思っただけだッ!!
そしたらお前は居ないし!来ないし!!まあティラミスは出たけど……。
ナイゼル:フフ、いつも通りだって……
あっおい!来たんなら私の分も寄越せよッ!ティラミスってなんだよ!聞いてないんだが!?
オルキアス:なんで来なかった奴にわざわざ届けなくちゃいけないんだよッ!!フンッ!!もう食べ終えた後だッ!!!ざまあみろ!!
ナイゼル:あーーー!!クソッ!!!ずるいんだが!?!?
オルキアス:ティラミスの代わりに僕の拳をくれてやったんだ。有難く泣いて喜んでいろ。
ナイゼル:(頬をべち、と軽く小突いた)なんっで私が男の拳で喜ばなくちゃなんないんだよッ馬鹿
オルキアス:むぁッ なん……ッ おいッ!!(手を振り払った。頬を突かれた後だが。)
ナイゼル:まあ、いいや。私は行く、んで皆と良い感じに別れるようにしたら絶対引き留められるだろ。その全部を振り切って行けるほど私も無敵じゃない。
オルキアス:……………。
ナイゼル:一寸ばかし寂しい気持ちもあるんでね。笑ったらブチのめすぞ。
オルキアス:だからこんなやり方したのか。弱い奴め。笑ってすらやらないぞ。
ナイゼル:フフ、ならそれでいい。しょうもない奴と思ってそのまま忘れるなり好きにしな。
オルキアス:なんで僕が忘れてやらなくちゃいけないんだ。(一歩踏み出して、髪で良く見えない顔を真っすぐに見つめた。)
ナイゼル。僕やイルヘリオ様の事を忘れでもしたら許さないぞ。その軽い頭にしっかりと刻み付けておくことだなッ……わかったか!
ナイゼル:約束は出来ないかな。一人足りなくね?
オルキアス:だってアルナイル様には連絡するんだろお前。約束はしろッ
ナイゼル:まー気が向いたら。多分勝手に気付くだろアルナイルは。別に連絡しなくても良いかなとは
オルキアス:お前………… (呆れた声色だった。)
ナイゼル:……まあ、追いかけて来たのに免じて考えとく。
オルキアス:(また大きな溜息を吐いて、その途中で聞こえた言葉に一度沈黙した。)
………あっ (そうして何かを思い出したように声を上げて。)
ナイゼル:どうした?
オルキアス:……じゃあ丁度いいからこれをくれてやる。(荷物の中に入っていたそれを相手の胸元に押し付けた。)
(勿忘草の花束だった。)
ナイゼル:っと、こら持ち物増やすな…………(と言いつつ押し付けられたのを受け取る)
オルキアス:送別会なら花の一つや二つ渡されてただろ。フンッ……(そう言って、振り返って背を向けた。編んだ赤い髪が風に揺れる。)
ナイゼル:まあそうかも知らんが……女子か!
オルキアス:はァ??? (もう一度顔だけ相手の方へ向けた。)
たかが花だろッ ごちゃごちゃ変な事を言うなッ!!
ナイゼル:花は重いだろうが!!おいっ!迂闊に女子とかに渡すなよ!?お前こんなこと毎回やってたら、アレだぞ、アレ。アレだからな!?
オルキアス:はぁ………??? いや……ウルスラ様にはお見舞いに渡したことはあるけど……。アレって何だよッ!!
ナイゼル:勘違いされるぞ。告白かなんかと
オルキアス:はぁ???
何を言っているんだお前………
ナイゼル:アルナイルと同じ返事すな(小突いた)
オルキアス:うわッ おいッ!!アルナイル様と同じって何だ!!(蹴った。)
ナイゼル:でっ”!!アイツすぐはぁ?って言うぞ、今度試してみろ……じゃなくて!
好きな子だけにやんな。そういう花渡すのとかは。
オルキアス:…………………、……。(何か言いかけた口は閉じられた。)
……フンッ!!まあお前が今後僕をきちんと敬うならその言葉覚えてやらなくもない。
ナイゼル:フ……オルキアス。それは〜……
5年後覚えてたらなッ!(髪を乱して、ぐぐっと押した、それから足早に走り出す)
オルキアス:あッ!!! ちょッ……!!! 待てッ ナイゼル……ッ!!!(ぐしゃ、と乱された髪はそのままに声を張り上げる。)
お前ッ!!!男がどうかとか言ってるくせに僕にべたべた触り過ぎなんだよッ!!!馬ーーー鹿ッ!!!!
ナイゼル:じゃあなァ〜!オルキアス〜!!(手を振って、それから走って行く。本人のいつぞやに語った通りに足は早い)
オルキアス:ほんッとに最後まで……自分勝手な………ッ (遠ざかっていく相手を見送る。五年後なんて、どうなっているかわからないのがお互いだというのに、言葉さえも軽々しかった。)
ナイゼル:(薄っぺらな言葉ばかり重ねる、自信なのか虚勢なのかは知れないが、恐らく貴方の前では格好つけていたいという事の現れやもしれない。それを本人の口から語ることは無いのだが)
オルキアス:(踵を返して歩き始める。十数歩程、歩いたところで足を止めた。)
(言葉も無く弓を手に掴んだ。もう一度、異邦人が去って行った方向を向いて、エーテルで作られる燃える光の矢をひとつ番える。)
──僕の矢の方が、速い。
(空に向けて放った。流星のように飛んでいく。その行先は見届けないまま、街の方へと戻って行った。)
ナイゼル:(その軌跡を旅人は見た。全く、それはズルだろ?と苦笑しながら。その笑いは矢の飛ぶ先に勇気づけられるような、そんな笑顔だった)
(旅人の旅は続く、例えその矢が落ちたとしても。進んでしまって、それから戻る事は無い)