懺悔室にて

- レガリア国教会 修道院 -

ナイゼル : (ちらっ)
ナイゼル : そういえば、修道院の人らって大体可愛い女子なことが……多かったよな……
司祭「この二つの扉は、司祭や騎士団の者に懺悔を聞いて頂くための懺悔室です。
懺悔する側は手前を、聞く側は奥をお使いなさい。
中に入ったら鍵をかけ、終わったらすぐに出るのですよ。」
ナイゼル : つまり……懺悔室で可愛い女子に聞いてもらえる可能性が高い……というわけだ。私の完璧な推理によると……
ナイゼル : 何懺悔すんだよって話ではあるが……
ナイゼル : まず、セクハラにならん範囲……そして実際に良くなかったなあと思ってることじゃないとならん……
ナイゼル : うーん、結構悩むとこだが……あ〜
アトリア : 現れる!
アトリアが、雑踏から姿を現す……
アトリアは[不可視]でなくなった
ナイゼル : 悩むとこだが、あの話で良いかもしれん……そろそろ時効ではあるけど、あの時は私も若かった……
アトリア : ……あら。ナイゼルさん。ごきげんよう。ようこそ聖堂へ。
ナイゼル : お、アトリアさん!
アトリア : 本日は懺悔室のご利用ですか?どうぞ、先輩が担当してくださいますよ。
ナイゼル : 何……ッ!!アトリアさんの先輩が!?
ナイゼル : (この瞬間、ナイゼルの脳裏にはお姉さまシスターの幻影がよぎった、そしてそれと仲良くするアトリアさんの姿も。白昼夢、儚い幻だ……)
アトリア : ええ。正騎士の方です。わたしよりも経験豊富な方ですから、きっと力になってくださることでしょう。
ナイゼル : ああ、そうさせて貰おう……ッ!ではまたな……アトリアさん
……懺悔室だ。
こちらは、懺悔をする側の者が入る扉のようだ。
……鍵を閉めた。

[!]0時にリセットされます。
ナイゼル : (そろ〜っと扉を開けて、それから鍵を閉めた、一応)
エグゾヴライム : (人の影が入り、鍵の閉まる音がすれば、優しく穏やかな声でゆっくりと告げる。)
ナイゼル : (構造をチェック、おそらくは魔法によって変声がなされる仕組みなのだろう……と凡その予測を立てた。――寧ろ燃えるね、どんな美女が聞いてくれてるのか想像するのは自由。私は……見えない物に良さを見出すタイプさ……もう黙っていた方が良い。懺悔はするようだ)
エグゾヴライム : ……罪に悩む者よ、どうかこの場に罪を告白されますよう。大いなる祖竜は全てを許すでしょう。
ナイゼル : かなり前のことになりますが、それでも構わないか。今になって良くなかったなと反省してることがある
エグゾヴライム : (懺悔室に響く声は、その青年が予測した通り匿名性をより強固にするため双方に変声魔法がかけられている。とはいえ、声音が変わろうとも穏やかな声の運び、それはどのような姿を思い描かせるだろうか。)
ナイゼル : (……やはり、お姉さまという感じか?)
エグゾヴライム : いいでしょう、そのような方もまた多いです。……どうか、今ここに罪の告白を。
ナイゼル : 旅先で出来た友人を……なんだかんだと理由を付けて置いて来たことがあって
ナイゼル : 今にして思うと私に付いて来たかったか、私に居座って欲しかったのかなぁと思っててね。
エグゾヴライム : ……なるほど、それはそれは、深く後悔なされたことでしょう。
エグゾヴライム : ………少しお待ち下さい、今日は少し暑いので……上着を……(姿は伺えない壁の向こう、衣擦れの音だけが響いた。)
ナイゼル : もう会えないだろう相手だしね。最近引き留められる、というか。こっちに住んだらいいのにみたいな話されることもあるし……
ナイゼル : (なんだと!?!??!?!?!?)
ナイゼル : (ナイゼルは耳を澄ませた。厚着なんだ……フーン……)
エグゾヴライム : ……ふぅ……お話の途中に失礼いたしました……さて、そうですね、この懺悔室では双方の詮索は禁止されていますが……
ナイゼル : い、いや。か、……構わないぞ。
エグゾヴライム : そのお話からして、あなたは稀人なのでしょう。
ナイゼル : (平常心を保て……ッ!健全に使ってないと締め出されて終わるッ!!)
ナイゼル : まあそうなるね。話でバレるのは最早仕方ないことだし。フェイク込みとは言わないさ
エグゾヴライム : その友人は……良い友人だったのですか?
ナイゼル : 悪い奴っちゃ悪い奴。私の財布から会計に足りない銅貨盗んだ時はシバいた。まあでも
ナイゼル : 面白い奴だったし、色々良くしてくれたもんだ。
エグゾヴライム : 良い出会いに恵まれたのですね。
ナイゼル : まあね、今もこうして聞いてもらえる幸福に預かれてるわけだ
エグゾヴライム : 嬉しいことを言ってくださる方ですね、ですが、これがわたくしのお仕事ですので。
エグゾヴライム : (声が少し喜びに跳ねる、自分の仕事ぶりを褒めてもらえれば、当然がごとく嬉しい。)
ナイゼル : (お、嬉しそうだな……意外と声が変わっててもわかるもんだな)
ナイゼル : その内出て行く予定を変えるつもりはないんだが。一寸ばかし引き留められると思い出されてならんってところ。
エグゾヴライム : この場所でも、あなたは同じように良い友人に恵まれ、そして引き止められている。……過去を思い出すのも、無理はないでしょう。
ナイゼル : そう、まさにそれ
エグゾヴライム : それでも、あなたの心はその時と変わらず、確かに決まっているのですね。
ナイゼル : ああ。好きな女が出来たり、デカい怪我でもしたら考えるけど。
ナイゼル : それも期間の延長に過ぎないんじゃないかなって思ってるよ
エグゾヴライム : ふふ、それは素敵ですね、良い出会いがあることを願わずにはいられません。
エグゾヴライム : ……しかし、なぜですか、そうまでして腰を落ち着けない。その理由が何か……?
ナイゼル : 生涯で何処かに落ち着いたことがないんでね。自分がそうなってる姿を想像できない……し
ナイゼル : ずーっとそこに居るって案外難しい物だと思ってる。どこか遠くに行きたいと思ってしまう。まだ白地図があるなら埋めたい。まあ、色々?
エグゾヴライム : その足元の覚束なさに、寄る辺の無さに、寂しさを感じることもないのですか?
ナイゼル : たまーに
ナイゼル : あれだ。焚火とか眺めてぼやっとしてる時。喋る相手欲しいかもな〜って思う。
エグゾヴライム : そうですか……いえ、少し、立ち入ったことを聞いてしまったかもしれないですね。すみません。……わたくしなら、少し寂しいだろうなと感じてしまって。
ナイゼル : (美女に心配されるなら……悪くないもんだぜ……という言葉を飲み込んだ。今は……マズい、まだだ。踏みとどまれ。防御防御防御……)
エグゾヴライム : しかし、本当に暑いですね……もう一枚脱いでしまいましょうか……。いやいや……。お勤めのさなかにそれはちょっと……。
ナイゼル : ……
ナイゼル : いいや、楽な姿勢で聞いてもらった方が私も……気楽に話せるッ!!!
ナイゼル : (うおおおおおやったあああああッ!!!!!!)
エグゾヴライム : そうですか?ではお言葉に甘えて……失礼を……。
エグゾヴライム : (再び、衣擦れの音だけが暗闇に響いた)……ふぅ……。
ナイゼル : (ありがとう懺悔室、今日の気温、ありがとう)その寂しいだとかを埋めるためにあちこち行ってるとしたら、まあどうしようもないね。生涯向き合う課題かも知らん。
エグゾヴライム : それでも……きっと祖竜様はお許しになられますよ、それがあなたの有り様で、あなたの生き方だと言うのなら。
エグゾヴライム : ……わたくし個人は、少し寂しく思いますが。……この街から外に出ることの困難さを思うと、少しばかり心配でもありますし。
ナイゼル : フフ、来たからには出ていくことも無理筋じゃないと信じてるよ。
ナイゼル : それに、君にそうやって案じて貰えるなら。必ず生きて出ていくさ。
エグゾヴライム : フフ、そうですね、祖龍様の導きがあなたにあることを祈ります。
エグゾヴライム : ……そして、そうですね、あなたを引き止める言葉を吐いた、1人の人間として。
エグゾヴライム : あなたの罪を許します。あなたの長い旅の無事を、祈る言葉と共に。
ナイゼル : ……聞いてくれてありがとう、名も知らぬ人。この地に、君に飽きない程度に素晴らしい平穏あれと願う。
エグゾヴライム : こんな薄着で聞くことを許してもくれましたからね、お互い様です、ここは全く暑くて叶いませんよ。
エグゾヴライム : ………外にでたら、くれぐれも水分補給をお忘れなく。
ナイゼル : で、出る時はちゃんと着てくれよな。誰かに見られるわけにはいかないだろ
ナイゼル : ああ、そうさせて貰う……、それじゃあな……!!
エグゾヴライム : もちろん、そうさせていただきますよ。あなたの旅に、おおいなる光の加護があらんことを。……いってらっしゃい。
ナイゼル : ……誰だか知らんが良い人だったな…………きっと美しい女性に違いない……(これは妄想だ、一人の男の、儚い白昼夢――)

- レガリア国立図書館 -

ナイゼルは、手帳を使った。