三心

ある日の酒場―――。
冒険者A
「俺さ……最近好きな奴が出来たんだよ……。」
冒険者B
「えー!?だれだれ!?」
いつも通り、冒険者達はだいぶんどうでもいい話をしている。
冒険者A
「……実はそいつ……俺と同じ男なんだ……。」
冒険者B
「……えっ!!」
冒険者C
「へぇ~~~。
 ってか何そんな深刻そうによ。
 リーンじゃ珍しい事でもないだろ。」
冒険者C
「俺も正直どっちでもいいわ。
 冒険者ってのは自由じゃなきゃな、ハハハ。」
冒険者B
「……そっか、そうなんだ……。
 好きな人……男の子なんだ………。」
冒険者C
「お前もそんな驚かなくてもいいじゃねぇの。」
冒険者B
「あ、違うの、別にそのことに驚いてるんじゃなくて。
 ………好きな人、いたんだなって思って。」
冒険者A
「どうしようもない鈍感野郎だから、
 しばらくは気がつきそうもねぇけどな。ハハハ。」
冒険者C
「そいつが誰なのか知らねぇけど、
 お前も大概に鈍感だよなぁ」
冒険者B
「あ、あのね、私も、応援してるから!
 好きな人と結ばれるといいね!!」
心底どうでもいい話を聞いてしまったが……。
しかし、恋愛か……。
ロザーリオ : (正直どっちでも然程変わらないな……)
恋愛にそもそも興味がないのか、
あるいは、そもそもあんまり頓着がないのか。
何はともあれ、あなたはどうでもいいなと思った。
話をよそに、夜は更けていく。

――――――――――――

その翌日………。
あなたは依頼を求めて、羊のしっぽへ来ていた。
ロザーリオ : 一人でも出来そうなものはありますか
アルマ
「いい感じの依頼ねぇ……。」
アルマはぱらぱらと依頼書をめくっていく。
あなたは、他に一緒に依頼に行く冒険者もおらず、
1人で羊のしっぽを訪れている。
簡単な依頼しか受けられないだろうが、
他に特にやる事も思い当たらなかった。
アルマ
「これなら、一人でも大丈夫なんじゃない?」
差し出された依頼書は、
ゴブリン討伐の依頼だった。
ロザーリオ : ふむ、良いでしょう。
街道に出現するということで緊急、報酬は高い。
それでいて特に変わったところのない依頼だ。
特に断る理由もなさそうだ。
少し退屈かもしれないと、そう思ったかもしれないが。
あなたは依頼を受ける事にすると、
依頼へ向かう準備をはじめた。


リーンを出て、街道を進んでいく。
と、そこで……。
???
「ーーーーーーーーッ!!!」
ロザーリオ : む
誰かの悲鳴が街道の先から響く。
もしかしたら、街道を通っていた民間人が
巻き込まれてしまったのかもしれない。

「こ、こないでっ……!」
女がゴブリンに襲われているようだ。
女は一瞬冒険者の方を見るが、
すぐに視線を伏せてしまった。
……?
目標値:20 <= 3d + 感覚補正 + パーセプション
達成値:10([2,5,3])
判定に失敗しました
ロザーリオ : おやおや
ともあれ、あれが討伐対象のゴブリンだろう。
あなたはどうしようか考えた。
ロザーリオ : 依頼は依頼か
あなたは素早く武器を構え、
ゴブリンと女の間に割って入った。

「……へっ?」
女は戸惑いつつも、素早く立ち上がって逃げて行った。
あとはさっくりとゴブリンを倒すだけだ。
ロザーリオ : 庇う手間が省けて良い
アクティブシーンになりました。
Round 1
ロザーリオ : ラピッドスラスト
構え、貫く 達成値:16 ([3,3,4]+6)
殺ゴブリンは防御した。
ダメージを1軽減!  ([]+1)/2
殺ゴブリンに22のダメージ  ([5,6,1,5]+7)
殺ゴブリンは[重傷]になった
殺ゴブリンは[気絶]になった
ロザーリオの攻撃は距離が合わず失敗した。
アクティブシーンが終了しました。
無事にゴブリンを倒したあなたは、
依頼を終えて宿へと戻っていった。
ロザーリオ : 終わりか。やはり大した依頼ではありませんね


翌日。
あなたは再び一人で『羊のしっぽ』を訪れていた。
ロザーリオ : 何か一人で出来そうな依頼はありますか
アルマ
「あ、丁度いいところに………!」
アルマに呼び止められてそちらを見ると、
見覚えのある顔があなたを見つめていた。
ロザーリオ : ?

「あ……!」
女はぱぁっと笑顔を向けると、あなたの方に駆け寄って来る。
ロザーリオ : 何か?
アルマ
「昨日街道に行った冒険者は誰かってすごい聞かれちゃって。
 ……知り合いみたいね、良かった。」
ロザーリオ : いえ、特に知り合いというわけでは

「知り合いなんてものじゃないんですよ!
 この方は命の恩人、いいえ、まさに救世主様みたいな存在で。」
ロザーリオ : ……

「私のピンチに颯爽と駆け込んで、
 こう、ずばっとやっちゃうんですから。」
ロザーリオ : まあ、依頼でしたから

「ほわああああ……またお会いできてよかった……!!!」
女は無遠慮にあなたへ触れると、
拝むように手を合わせてへこへことしだした。
ロザーリオ : ……っ、と
ロザーリオ : 何故ここに?

「冷たい事言わないでくださいよ!
 あなたに会いに来たに決まっているじゃないですか!!!」
ロザーリオ : ……そうですか

「ええ、そう……私はあの瞬間、
 あなたの事がほんとうに大好きになってしまったんです。」

「だってそうでしょう、私の事を助けてくれる人なんて、
 今まで誰だっていなかったのに。」
ロザーリオ : (1歩引こうとした、がそれは目立つな、と思い直した)

「そんなの、好きになっちゃうじゃないですか。」

「ああ、ええと、どうしよう、いっぱい考えて来たのに、
 いざあなたを目の前にすると言葉が浮かばなくて。」
ロザーリオ : 特に語る必要はありませんよ

「―――あなたのことが好きなんです!
 付き合ってくれませんか!!!」
ロザーリオ : 申し訳ありませんが、もう別に懇意にしている相手が居るんですよ

「あっ………。
 そ、そうですか………。」

「そうですよね。
 まずは友達からですよね!」
ロザーリオ : む……

「明日、また来ますから!!」
言いたい事をわーっと言うと、そのまま出て行ってしまった。
ロザーリオ : あ……あ~……
アルマ
「………なんだか、妙な事になったみたいね。」
ロザーリオ : 困りましたね
あなたはその言葉にどう返事を返しただろうか。
ともあれ、どうにもこうにも、面倒な事になったようだった。


―――さらに翌日。
あなたはリーンの広場に来ていた。
羊のしっぽに向かえば、彼女がいるだろう。
ロザーリオ : ……
ロザーリオ : どうしたものかな
かといって、羊のしっぽに行かなければ依頼を受ける事もできない。

さて、どうしたものか、と、あなたは歩き出した。

ロザーリオ : 前はどうしていたんでしたっけね。
冒険者
「ん、どうしたんだ、こんなところをほっつき歩いて。」
冒険者
「なるほどなぁ……。」
ロザーリオ : そういうわけなんです。困ったものでしょう。
冒険者
「なんか随分と厄介な奴に目をつけられてるな。」
ロザーリオ : 直感的にそうかとは思いましたが、やはりそう思いますか?
冒険者
「そういう奴はこう、だんだんとエスカレートしてくるからさ、
 ………気を付けろよ。」
ロザーリオ : ……
冒険者
「そんじゃあ今日は別の奴を誘った方がいいなぁ……。」
ロザーリオ : よそに拠点を移すのが良いでしょうか。雲隠れとするのが常でした
ロザーリオ : まあ、そうするか。
ロザーリオ : あの手の話にまともに付き合うと、どうしようもなく消耗するわけですし
今日のところは諦めて、別の街で宿を取ろうか。
あなたは羊のしっぽへ向かう事を諦めて、別の街で宿を取る事にした。


―――さらに翌日。
あなたは再びリーンの広場に来ていた。
1日置いた事だし、今日はさすがに居ないだろうか。
ロザーリオ : ……
ロザーリオ : 探していたら面倒ですが……
冒険者
「あ!お前!
 昨日なんか宿でずっとお前を探してるやつがいたぞ。」
冒険者
「俺が依頼に出て1日かかって、
 そんで戻って来てもまだ居たっぽいから……。」
ロザーリオ : ええ……
冒険者
「あの分だと今日もいるんじゃねぇかなぁ……。」
冒険者
「ま、なんか困った事があったら言ってくれよ。」
ロザーリオ : どうしようかな
ロザーリオ : 別の街に向かうのは安全策ですが、その後どうするのかといった問題は生じるわけです
ロザーリオ : やむを得ないか

「あ、来てくれたんですね!!」
ロザーリオ : ……

「昨日、待ってるって言ったのに
 どうして来てくれなかったんですか?」
ロザーリオ : 特に約束はしていなかったかと思いますが。

「あの冒険者とは喋ってたのに……。」
ロザーリオ : 何です、見てたんですか?
女は、がりがりと首をかいている。
昨日もそうしていたのだろう、傷跡がはっきりとついていた。

「まぁ、いいです、今日は来てくれましたもんね。」

「ほら、見てください、あなたとずっと一緒に居たくて、
 私も冒険者になったんです。」
ロザーリオ : はあ……

「これでずっと一緒にいれますよね、そうですよね。」
ロザーリオ : ……

「早速一緒に依頼に行きましょう。
 もう依頼は選んであるんです。」
ロザーリオ : 申し訳ないんですが、お断りしようと思ってきました。

「それじゃあ一緒にどこか別の街とかに遊びにいきましょうか。
 結構色々な街へ馬車が出るようになりましたよね。」
ロザーリオ : いえ、そういう話ではなく……
結局その日は、彼女に連れ回される事になった。
ロザーリオ : あ、ああ~……
――――いや。

「冒険者さん!!
 今日はどこに行きますか!!!」

次の日も
ロザーリオ : ……

「冒険者さん!!」

次の日も

「冒険者さぁん!!」

次の日も

「あ、今日はここにいたんですね!!!」

次の日も
来る日も来る日も、
いつまでだってしつこくついてくる。
あなたは……
さすがにいい加減うんざりしていたあなたは、
彼女に言葉で伝えるなり、行動であしらうなり、
あなたなりに行動をおこし………。
ロザーリオ : 何度も断ったとは思うんですが……
そして―――。



「どうしてですか?」

「どうしてそんなひどい事が言えるんですか?」
ロザーリオ : 貴方の思っているような相手では無かった、ということです

「私はこんなにあなたのことが好きなのに。」

「嫌だって言われたら
 私の好きって気持ちはどうすればいいんですか」
ロザーリオ : 仕舞って、鍵をかけてしまえばいい。開ける気も起きなくなる日まで

「そんな事言ったら、私が悲しい気持ちになるって、
 わかってるはずじゃないですか。」
ロザーリオ : ええ。わかっています。よく

「ですよね、優しい冒険者さんなら
 分かってるはずですよね。
 分かってて、そんな、酷い事を言うなんて。」

「私の事、弄んでたんですか?
 受け入れる気もないのに受け入れたフリをして。」
ロザーリオ : 私が断る余地は無かったでしょう

「嫌い。」
ロザーリオ : 構いませんよ、それで

「………嫌いです……。
 あなたみたいな、酷い人は。」

「そんなひどい事を平気で言う奴、死んでしまえ!」
ロザーリオ : (溜息を吐いた、困ったことになったなと)
彼女は、短剣を構える。
ロザーリオ : (剣の間合いの外、何とはなしにこうなるだろうとは思っていた)

「しねええええええええええええええ!!!!!!!」
アクティブシーンになりました。
Round 1
ロザーリオは移動した。
ロザーリオは[7,4]へ移動した。
女は移動した。
女は[5,4]へ移動した。
ロザーリオ : ラピッドスラスト
構え、貫く 達成値:19 ([3,6,4]+6)
女に18のダメージ  ([2,3,3,3]+7)
女は[重傷]になった
女は[気絶]になった
女は[昏睡]になった
アクティブシーンが終了しました。

「あ……あは……」
ロザーリオ : 気は済みましたか

「……本当に、酷い……。」
彼女は倒れると、そのまま動かなくなる。
このまま放置すれば、確実に死ぬだろう。
ロザーリオ : (これまでにも、こうして誰かを殺したことがある。だからいつも通りにするだけだった)
ロザーリオ : (その後は夜の大気が彼女の命運を奪って終わりだ)
あなたは彼女を放置して、家路を急いだ。
明日からは、もう彼女に悩まされる心配はない。
こうして、ありふれたゴブリン退治から
始まったこの一件は、幕を閉じた。
さて、次の依頼は、どんなものになるだろうか。
ロザーリオ : お疲れ様でした
[報酬袋] を手に入れた。