流れの剣士

カルロ : ただいま~
ロザーリオ : おや、お帰りなさい。
カルロ : 今日はダミアンたちと依頼に行ってきたよ。
ロザーリオ : 上手くやれました?最近は弓だったでしょう?
カルロ : ばっちり。 ああうん、セルノス草原にも行くにあたってちょっと戦い方変えてみてて。
ロザーリオ : リュカの真似でも?最近は見ませんが仲良くしてましたし、見かけない間に教わったり?
カルロ : リュカが使う銃ともまたちょっと違うんだけど近いかな。
カルロ : ええと、ルスリアに行ったときに知り合った冒険者で弓使いがいてさ。
ロザーリオ : 戦った感覚としては弓使いと近かったものですから。そういうものかなと。なんだ違うのか
カルロ : まあよく似てるよ、それぞれからちょっとずつ参考にして…ということ。
ダミアン : あ、ロサ。
ダミアン : どうも。(ちゃっかりと横に座ってきた……。)
カルロ : おつかれダミアン。
ロザーリオ : おやダミアン。お帰りなさい。お久しぶりです。僅かに見ない間に変わりましたね
カルロ : 最近はダミアンも剣使ってるんだぜ。
ダミアン : ふふん。剣士です!
ロザーリオ : ならその内手合わせしてもらおうかな。どの程度学んだか気になりますし
カルロ : 短い間にだいぶ上達したよね。
ダミアン : う。……いえ、フガクに請うた剣の腕、是非ご照覧あれ!
カルロ : 戦闘は苦手です、って言ってた頃からしたらすごい成長。
ダミアン : 今でも得意、ではありませんけどね。一人で郊外を歩ける程度には。
ロザーリオ : おや、それなら次は護衛の仕事は貰えないわけか
ダミアン : ……(咳払い。)頼むかもしれません。最近そうして歩いていて散々な目に遭いましたから。
カルロ : あれ、そうなの?
ダミアン : ええまあ、……いろいろと……。(溜息)
ロザーリオ : ええ?
カルロ : なんか狙われやすいとかなんだろうか…運が悪いのかもしれないが…
ロザーリオ : 単に優柔不断な仕草と表情で、視線を彷徨わせがちですから、叩けば勝てると思われがちなのかもしれませんよ
ダミアン : 弱そうだと思われてるのかな……。
ダミアン : でも、優柔不断なんかじゃありませんっ!
ダミアン : 私程意思が強かな人間は他に居ません。
カルロ : まあ強そうではないかもしれない…一見ね…。
ロザーリオ : どうでしょう。外から見た時の印象はまた違いますから
ダミアン : (むんっ。)
ダミアン : ですが、それは一理ありますね。ロザーリオなんか、いかにも軟派で、女性を口説いて回っていそうな質ですが。
カルロ : (むんってしてるなあ)
ダミアン : 中身は意外と武人……いえ……、やっぱり軟派かも……。
カルロ : それはまあ…実際挨拶代わりに口説いてるし…
ロザーリオ : 良い所を褒めるところから入れば大抵の相手は苛つく事無くそれなりの相手として流すでしょう?
ダミアン : あれ、そういう意図だったのですか!?
ロザーリオ : 良い人って然程印象に残りませんから。
ダミアン : 印象に残られたくないのですか?
カルロ : ……上辺の話だ。実際根は真面目で、騎士然としてるよ。
カルロ : あまり印象に残さないように振舞ってるんだろ。
ロザーリオ : まあ最近は別に印象に残っても良いかなと思いますがね
カルロ : そう?
ダミアン : (自分の顔の前で手をひらひらとさせる。印象に残すためのポーズなのだろうか……。)
ロザーリオ : 何かの儀式でも?
カルロ : ……
ダミアン : そ、そんな……。
カルロ : 何してるんだ…
ダミアン : (コミュニケーション不全だ……と落ち込んだ。)
カルロ : そ、そんなしゅんとするなって…
ダミアン : べつに……。(やさしい……。)
ダミアン : ……ごほん、それで、ロサ。何かの心変わりですか?
ロザーリオ : まあ。あちこち行くのはあの街で最後にしようかと思ってたんです。
ロザーリオ : そうでも無くなったので。
ダミアン : それって……、あの町に来るまでは旅人をしていたんですか?
カルロ : ……やっぱり、そうだったんだな。
カルロ : 流れの剣士だって言ってたね。
ロザーリオ : 流れの剣士ですだとか名乗ったと思いますが。普段は名乗ってすらいませんでしたよ。最後だし、で名乗っていたというか。
ダミアン : 初耳だ……。
ロザーリオ : 別に言わずとも良い情報じゃないですか。
ダミアン : それはそうですが。
カルロ : ……(何か言おうと色々と考えていたが、上手くまとまらないのか黙っている)
ダミアン : なら、二人を護衛に誘って良かったかもしれませんね。
ダミアン : あそこで縁を断ち切ってしまうのは少し惜しい……。
ロザーリオ : フフ、雇って頂けて助かりましたよ
カルロ : …ああ、そうだな。俺も助かったし、嬉しいよ。
ロザーリオ : それで、何か食べます?
ダミアン : でも、誘わなかった場合、ロサはあの町に永住していたんでしょうか……。
ダミアン : あ、じゃあ珈琲でも。
ダミアン : ご飯ものはまだいいかな。
カルロ : (自分が引き留めたのかと、そっと心の中で自惚れるに留める)
カルロ : ダミアンは珈琲派だったっけ。
ダミアン : 普段は紅茶ばかり飲んでいるので、たまには……。
カルロ : なるほどー。
ダミアン : 珈琲もいけるんですよ。ブラックが好きです。
ロザーリオ : どうでしょう。永住とはいかなかったかも。
ダミアン : ……あー!
ダミアン : 貴方まさか”終わる”つもりだったんですね!?
ダミアン : (声がデカい……。)
カルロ : 声が大きいぞ。
カルロ : というか、今気づいたの?
ロザーリオ : まあそうなります。そんな全人類に話すように仰らずとも
取引をしました。
[水] を手に入れた。
ロザーリオは、水を使った。
ゴクゴク…
ロザーリオは[水を飲む人]になった
カルロは、珈琲を使った。
珈琲豆の香ばしい風味が漂う…
カルロは[珈琲を飲む人]になった
カルロ : (珈琲に砂糖をたくさん入れた…)
ダミアン : むうう……。まさか本当に実行するつもりだったとは。
ダミアン : まあ、今があるならそれでいいです。
カルロ : ……話してたんだ?
ダミアン : (……話してないんだ、という顔をしている。)
ロザーリオ : 秘密は残しておこうかなと。なんてね
カルロ : 俺には言わなくても良いと思えていたならそれでいいんだ。
カルロ : 秘密の多い人は嫌いじゃない。
ダミアン : 彼は私の検体でした。
ロザーリオ : そうですね。合意なのでお気になさらず
ダミアン : ……それで、色々と話を聞いていたんです。なぜ、こんなことを無報酬でするのか。そういう話を。
カルロ : へえ。ああ、無理やりさせるなんては思ってないが。
カルロ : ちょっと意外ではあるけど。
ダミアン : そんなことしませんっ! 私はいつだって合意をとってから……。
ロザーリオ : 合意を取ってから?
カルロ : まあ……頷ける。
クグ : ただい、…………。
ダミアン : あ、クグさん!
クグ : (帰りの挨拶を告げかけて、カウンターの方から聞こえてきた会話に声量も尻すぼみになる。)
カルロ : クグ、おかえり。
クグ : た……だいま。
ロザーリオ : おや、お知り合いで?
ダミアン : ? どうしたのですか? 少し落ち込んでいるような……。
カルロ : 一緒に依頼をしていてね。
ダミアン : ああ、そうだロサ。彼は私の団体の研究生一号予定です。
クグ : えっ!!??
ロザーリオ : …………
カルロ : …………
クグ : (知らない肩書で紹介された。)
ロザーリオ : 合意を取ってから?
カルロ : (肩を竦めた)
カルロ : 予定ね、予定。
ダミアン : 予定なので、合意はこれから取ります。
ダミアン : さ、こちらへどうぞ。
クグ : 合意が何とか聞こえてたからちょっと嫌な予感してたんだよ!(とは言いつつ、隣の席に座った。)
ダミアン : イヤって失敬な!
クグ : だってダミアンはその……、…………。
ロザーリオ : フフ、まあそう仰らずに。ダミアンも悪気は無いのでしょう?小柄な方だが存外はっきりと物を言える。なら丸め込まれているわけでもなさそうだ。良いじゃないですか
フォローしました。
クグからフォローされました。
ダミアン : そうでしょう、そうでしょう。彼は聡明です。
クグ : あのな。別にダミアンの思想に反対してるわけじゃないけど団体に入るというほどは一致してないと思ってる。
クグ : というか、そこまで深くは話し込んでない、だろ?
カルロ : 一方的に話してるもんな…
カルロ : 団体については、だけど。
ダミアン : ……それは、その通りです。いずれしっかりと説明する時間をいただければと。
ロザーリオ : もう少し普通の会話から入ったらどうです?雑談とか
クグ : えっ。えー…………と。
カルロ : ふふっ。
ダミアン : こんにちは。クグさん。今日は素敵な衣服を着ていますね!
クグ : いつも通りですけど……。
クグ : サイズがないから仕立て直した……やつですけど……。
ダミアン : 嘘は言っていません。私は白衣が好きです。
クグ : ああそういうこと。
カルロ : ……
ロザーリオ : 今日は、だと着替えた時向けの発言ですよ
ダミアン : …………!
カルロ : 今日も、って言わないと。
クグ : あんまりこれ以外の服持ってないし、着替える機会もないな。
クグ : 無理やり着替えさせられたとかぐらいじゃないと……。
ダミアン : ……そうですね。普段からその衣服を着てらっしゃるし。お気に入り、というわけでもない?
クグ : えっ。どうなんだろ……。いつものだから慣れてる、とは思うけど。
クグ : ……アカデミーでの制服みたいなものだったから。未練がましいかもしれないけど、この服だと落ち着くんだ。
ダミアン : ……その気持ちは少しわかります。それこそロサや……カジヤだった時のカルロだって、そうだっただろうし。
カルロ : 研究者…志望なんだっけね。
クグ : ん。今となっては冒険者暮らしも馴染んじゃったもんだけど。
クグ : それに、冒険者をしながら研究をしている人も……それこそダミアンみたいに、けっこういるって知ったんだよな。
クグ : だから、今は無理してラボに入ることもないんじゃないかって思ってはいるよ。
ダミアン : それは……。
ダミアン : (遠回しにフラれている……?)
ロザーリオ : フラれましたねダミアン
宿の娘さん : もう良い時間……そろそろ私は休みますね!
宿の娘さん : 皆さんもあまり遅くなりませんように…おやすみなさい!
 …………。
 ……宿の娘はそう言って部屋へと向かっていった。
クグ : えっ、あっ、そんなつもりでは……あっおやすみなさい!(宿屋の娘さんに挨拶を投げかけて)
ダミアン : (ガーン! と同時に、娘さんの声掛けが響く……。)
カルロ : あ、おやすみなさいー(宿の娘へ)
ダミアン : まだ脈があります!
ダミアン : 脈だけに!
カルロ : ま、自分がやりやすいようにするのが一番だね。
カルロ : ……脈だけに…??
ロザーリオ : ダミアン……
クグ : その……ふ、フラれるとか、フるとかまでは考えてないけど……まあとにかく、もう少し自分なりにやってく時間も必要かなって……。
クグ : ところで何が脈だけになんだ?
ダミアン : ……それは理解しております。
ダミアン : 是非とも、私の説明を受けたあとで。よくよく熟考為さってください。
ダミアン : (さらりと説明されることを確定づけたあとで)
ダミアン : えっと……。
ダミアン : ジョークです! ロサに教えてもらいました!
カルロ : ……
クグ : ……ハイコンテクストなジョークなんだな。(遠回しに、よく分からないと告げて。)
クグ : あ、ところで。えっと……そちらの方が噂の”ロサ”?
カルロ : …ロザーリオ。
クグ : ロザーリオ。さん。
ダミアン : そうだ、紹介が未だだった……。(お恥ずかしい、と頬を抑えて。)
ロザーリオ : 通じてないようだ。フフ、縁があれば葉脈のように関係を支える筋が出来るかも。だとかそんなのだったかな。緑ですし。それでかこつけたかったんでしょう。多分
ダミアン : (ロサ……!)
ロザーリオ : ロザーリオと申します。ダミアンはロサと呼びますが、お好きになさってください。
カルロ : (ロザーリオ……!)
クグ : あ、ああなるほど……俺はクグ。よろしく、ロザーリオ。
クグ : えっと……カルロの……。(以前、こいな…とかなんとか言われたが、結局何だったのか分からない。関係を教えてくれるよう促すかのように、言葉を濁した。)
カルロ : (よそ行きの顔ではあるのだが、こういうときのロザーリオもかっこいいとそっと嬉しくなっていた)
カルロ : え、あっ…
ロザーリオ : 師です。剣の
ダミアン : こいっ……あ、あぁそうですね。そうでもある。
クグ : ああ、師匠か! それでカルロは剣術があんなに綺麗なんだな。
ダミアン : 今日は弓でしたが、やはり精彩のある動きでした。それの経験が生きているのでしょう。
カルロ : そう。師匠(せんせい)。たくさん教わってるよ。
ダミアン : ええ!(含みがあったのかもしれないが、気付かない……。)
クグ : カルロにはいつも助けてもらってるからな。お世話になってます……っていうのも変かもしれないけど。
ロザーリオ : 彼からすれば教えを請い願う仲、という所です。フフ
ダミアン : やっぱり!!!(こいなか──)
カルロ : クグにも助けてもらってるからこちらこそ。 …
ロザーリオ : まあ、仲良くして頂いてるなら何よりです。いつも楽しそうですし
カルロ : ……ま、まあね、…
クグ : (なるほど、それでこいなとかなんとかそんな風に言っていたのか。そう心内で納得して。)
取引をしました。
[水] を手に入れた。
ロザーリオは、水を使った。
ゴクゴク…
ロザーリオは[水を飲む人]になった
ダミアン : ホントだ。口説かないんだな……。
クグ : 口説く?
カルロは、珈琲を使った。
珈琲豆の香ばしい風味が漂う…
カルロは[珈琲を飲む人]になった
ロザーリオ : 何です。人の事を色情魔みたいに
ダミアン : さっきまでこういう話をしていたんです。彼、誰にでも最初は口説いて掛かるんですけど。最近はその必要もなくなったって。
ダミアン : 事実でしょう。
ダミアン : 軟派男……。
カルロ : (珈琲を追加して砂糖を入れようとしてちょっとこぼした)
クグ : そ……それは、また。……すごいな…………。
クグ : なんか……心変わりでも?
ロザーリオ : 先に褒めてかかると印象が良いでしょう?なんてね。良い所を見つけるのが好きなだけです。
ダミアン : だそうです。
クグ : 褒めるのと口説くのとはまた違う気がするけど……。
ダミアン : ですから、言い回しが迂遠なんですよ。
ロザーリオ : 少し過剰にしてしまう方だった、というだけです。加減を覚えたと言うべきかな
カルロ : 依頼人でも綺麗な女性だったらすぐ口説いてるよ…。
カルロ : (やや不貞腐れたように珈琲を冷ましながら)
クグ : なんにせよ、加減ができたんならなにより。勘違いされたりなんだり、トラブルが起きそうだもんな。
ダミアン : ?
クグ : 世の中、ちょっと優しくしただけで勘違いして追っかけてくるやつもいるくらいだ。
カルロ : 勘違いはされてるだろうな。
ロザーリオ : 勘違いされたら次の町に行くだけですよ
クグ : 定住できない…………。
カルロ : ほら。
ダミアン : (あらゆるに?を飛ばしながら……ソーサーを手に取るカルロを見て、『そうだ』と呟く。)
カルロ : いったい何人泣かせてきたんだか。
ダミアン : カルロ、先日も軽く触れましたが……。そろそろ、テーブルマナーのお勉強はおしまいといたしましょう。
ダミアン : 無事、免許皆伝ですよ。
クグ : おっ、講師から直々に。おめでと、カルロ。
ロザーリオ : おやおめでとうございます。随分上手くなりましたね
カルロ : 本当に?ふふ、嬉しいな。
ダミアン : これでロサの前で恥をかくこともありませんね。予習復習、よく頑張っていましたよ。
カルロ : ははっ…じゃあこれからはお手本になれると胸を張っていくさ。
ダミアン : ご褒美に何か差し上げようかな。何か好きなものはございますか? 無ければ私が選んで買って参りますが。
カルロ : 好きなものならたくさんあるが、急に聞かれると悩むな…
カルロ : せっかくならダミアンが選んだものが良いな。
ダミアン : 分かりました。いい案があります。楽しみにしておいてくださいね。(微笑む。まっとうだ……。)
カルロ : うん!待ってるね。(子供っぽい無邪気な笑みを浮かべた。)
ダミアン : (教師と教え子然!)
ロザーリオ : 私よりは贈り物選びは上手いでしょうしね
ダミアン : 根に持ってます?
クグ : (何か因縁でもあるのだろうか、と苦笑する。)
カルロ : 何があったんだ…
クグ : ……ふぁ、あ……。
クグ : ……やべ、けっこう眠いな。
ロザーリオ : まあまあ。
ダミアン : ……そうか。クグさん、お休み時ですか。
クグ : 俺はそろそろお暇させてもらうよ。話相手になってくれてありがとう。
カルロ : っと、今日結構大変だったしな。おつかれさま。
クグ : ん、今日もお疲れ様。
ダミアン : そうですね、ご苦労様です。カルロも。
ダミアン : また共に依頼にいきましょう。
ロザーリオ : ええ。お疲れ様です。またお会い出来れば何か話してください。
カルロ : おやすみクグ~。
クグ : うん。ダミアンの話も、またどこかで聞かせて。
ダミアン : お任せを!(言われずともそうするだろう……。)
クグ : それじゃ、おやすみ、三人とも。
ダミアン : おやすみなさいませ。
クグ : (軽く手を振って、二階へと上がっていった。)
ダミアン : 私もそろそろ上にあがるかな……。
ダミアン : ありがとうカルロ、ロサも久々に話せてよかった。
カルロ : こちらこそ。ありがとうなダミアン。
ロザーリオ : おやすみなさいダミアン
カルロ : おやすみなさい~。
カルロ : ……
ロザーリオ : テーブルマナーを習得したということは迂闊なのは見せられないな
カルロ : えっ。ああいや…気にしないでいいよ、改まった席でもないんだし。
ロザーリオ : いえ、間違ってる、上手くやれない事もあるんだなと思われると、え~……
ロザーリオ : 恥ずかしいというか?
カルロ : ……ふふっ。カッコ悪いだなんて思わないし。
カルロ : 普段は礼儀作法だとかに縛られなくていいかなと。
ロザーリオ : なら、良いか。
取引をしました。
1ルド失った。
[コーンスープ] を手に入れた。
ロザーリオは、コーンスープを使った。
甘くまろやかな味と温かさが染みる…
ロザーリオは[コーンスープを飲む人]になった
カルロ : まあその、恥ずかしいって思うロザーリオは…ちょっと可愛いなって思うけど。
カルロ : たぶん俺くらいしか知らないし、ね?
ロザーリオ : 揶揄ってます?もう
カルロ : ふふふ。
ロザーリオ : まあ、良いですよ。カルロにそう思われるくらいなら。他に思われるのは微妙ですが
カルロ : ……それはその…
ロザーリオ : 何です?
カルロ : う……や、惚気てもいいかなって……思っただけ……
カルロ : 終わらせるつもりだったんだろ、最初は。
ロザーリオ : ならどうぞ。私にだけ聞こえるように……
ロザーリオ : 普段は名乗ったりしませんでしたよ。最後なので、名乗る事にしたんです
カルロ : でも、あんたはそうしなかった、わけで。
ロザーリオ : 引き留められてしまいましたから
カルロ : ……ん…(少し泣きそうな声で、頬を赤らめたまま微笑んだ)
カルロ : ……よかった。
ロザーリオ : 貴方のせいだ。まだ続ける気になったのは
カルロ : 台詞、返されたな。
カルロ : …俺には、俺の前じゃ終わらせたいなんて言わなかった。
カルロ : 言う必要なかったんだろう。…
ロザーリオ : そうですね。必要無かった。勝てば貴方に殺してくださいと言ったかもしれませんがね。
カルロ : ! ……
宿の親父 : …さて、俺もそろそろ寝させてもらうぞ。
宿の親父 : お前さんも営業開始頃まで起きてるんじゃないぞ?
 …………。
 ……亭主もそう伝えると戸棚に鍵をかけ、部屋へと向かっていった。
カルロ : (自分の左手を、握り、開く。指輪が鈍く光った)…
カルロ : もしそうだったなら…できなかった、な。そうはならなかったけど。
ロザーリオ : 勝者の権利なのに。
カルロ : 俺の本分は、化け物を殺す剣だ。理には適ってる。
カルロ : 勝者の権利としても当然。
カルロ : だけど、やっぱり……苦しいよ。
ロザーリオ : ……
ロザーリオ : じゃあやっぱり、無しです。この先も、貴方には頼みません。哀しませたい訳じゃない。
カルロ : それだけ、好きになってしまったんだ。…
カルロ : (ぱっとあなたの片手を取る。引き留めるように)
ロザーリオ : ただ。私が、貴方が愛するに足らない私になったら。その時は貴方が選ぶといい。
カルロ : ……、そんなこと、言うな。
カルロ : 言わないで……
ロザーリオ : 可能性の、話です。
カルロ : あんたの代わりはいないんだ。
カルロ : きっと、これから先、誰かを好きになったとしても。
カルロ : ロザーリオを忘れることはできない。俺は、ずっと…
カルロ : …最後まで…傍に置いてくれ。
ロザーリオ : (貴方を抱き寄せて、それから耳元に囁いた)
(To カルロ : それなら、ずっと貴方の好きな私で居ましょう。)
ロザーリオ : (頭を撫でてから視線を合わせて微笑んだ)
カルロ : ……、……(いつの間にか零れていた涙をそのままに、ゆっくり瞬きをする)
ロザーリオ : もう寝ましょうか。随分遅くになった。
カルロ : ……うん。(ゆるやかに、身体の内から込み上げる温かさを湛えて微笑み返す)
ロザーリオ : ではお先に。
カルロは[本を閲覧中]でなくなった
カルロ : (ぼふ)
ロザーリオ : それじゃおやすみなさい。
カルロ : (ぱっと起き上がり…傍寄って、そっと口づける)
カルロ : おやすみなさい、ロザーリオ。
ロザーリオ : ん、おやすみなさい。カルロ……
カルロ : (ベッドにもどって丸くなった)