少女の願うハッピーエンド

あなたが瘴気と竜の森に倒れ、
意識を手放すことがあったなら。

妙な薄明かりの世界、いつかと同じ月明かりの下。
あなたを待つ少女の姿を見ることになるだろう。

「約束したでしょ?ここにはもう来ちゃダメだって。」

あなたがどうしてと問えば、天国から見ていると
そう約束したから、とただそう返す。

「今なら見なかったことにしてあげるから、帰って。」

戸惑うあなたの身体を、無理やりにでもぐるりと回す。
そうしてそのあと、その背に身を預けるようにぐいと押し返した。

「私とは一緒に行かないって、そう決めたなら。」

「ちゃんと、一人で行きなよ。」

「……でも、もし、本当にもう無理なら。」

「私の道連れにしてあげる。
 ……私の足は、きっとあなたよりもずっと早いけど。」

「ちゃんと、天国までついてこられるならね。」

少女はあなたの背に向けて笑う。
寄りかかるようにして、あなたの背を押しながら。

あなたがその少女になんと返したか。
果たして無事に一人旅を続けられたか。
それは分からないままでも。

ただ少しだけ、ほんの少しだけ。
たとえ長く深い漆黒の森の中、あまりにも微かな光だったとしても。

あなたの心に、意思の炎は灯るだろう。




 剣を振るう、既にエーテルの刃の光は淡い。意思無き者にこの先は進めない。
 自分はどうだ?
 少なくとも今はまだ、斃れてやる気はないな。

「まだそっちに行く気は……無いんでね……!」

 覚束ない足、既に気力のみで走る、それでも微かな光を手繰る。
 女子のお願いだっていうなら応えないわけには、だろ?