退魔師、鍵丸通切の話

結局のところ、厄介な同居人がどこへ消えたのかは定かでない。
自分の力で祓えたのか、それとも受けた呪詛によって消えてしまったのか。
ともあれ思考の霞も記憶の混濁も今は無い。
思い出せなかったことが唐突に頭に蘇り、それが随分と多いものだから学校が休みで良かったと思う。
三つの禁のその全てを思い出した、一つは破ってしまったけれど、まだ取り返しが付くはずだ。

鍵丸通切かぎまるみちきりはようやく隙間の無い思考を手に入れた。

呪術の基礎について学ぶことにした。
これまでは斬るだけで解決出来てしまっていた。
だから学ぶ必要もないと思っていた、でも出来ないよりも出来た方がきっと良い。

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普通科の友人達と離れたくはないから、特進科に進むことは無かった。 
一緒に卒業したいと思ったのも、一緒に勉強したり仲良くしたいと思ったのも、この普通科の皆だから。

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自分がどうなりたいのかについてよく考えるようになった。
とざすのためだとか、とざすならどうしたいのかよりも、今必要なのはそっちだと思う。
これは多分、少しだけ人間みたいな思考だ。

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閂とざすはまだ少しも返事をしてくれない。
鍵で閂は開かない、閂とざすは鍵丸に心を開かなかった。
それでもいい。
ただ一年待っただけだ。
十年でも二十年でも、彼女が現状に後悔して、返してくれと言うまで。
それまで待ち続ける。
それまで、なるべくいい進路を進むこととする。

好きな人が出来た。
もしかしたら片思いで、とざすのことが好きなだけかもしれないけど。
それでも君が笑ってくれるなら、それで良い。

いつかこの道を彼女に譲ることになったとしても、それで良い。
それまで彼女の進める道を切り拓き続ける。

鍵丸通切は、閂とざすの代わりに退魔師になると決めた。

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                                          鍵と閂 - 完

◇お借りしました
8、121、190、404