……雨はきっともう、止むだろう。

先日の約束通りに幽霊町を発つことにした一行は最後に町を一通り巡る事にした。


……。
ロザーリオ : さて、そろそろ発つべきかな……カルロ、起きてます?
カルロ : ん…… んん、起きてるよ…
ロザーリオ : 寝てません?
カルロ : 寝てない寝てない
カルロ : いやあ、長かったような、あっという間だったような…
ロザーリオ : 一月と少し、おおよそ50日にならない程度でしたかね。
カルロ : ああ、一生の別れというわけでもないのだが。
カルロ : だいぶ静かになって、ほんの少し寂しくないと言えば嘘になる。
ロザーリオ : 賑やかでしたからね。毎日。どうです。思い出の場所でも巡ります?出立する前に見て回れるくらいには余裕があるでしょう?
カルロ : うん、少しばかり見ていこうか。…初めて来た時みたいだ。
ロザーリオ : 結局あの後も迷ったんでしたっけ?なら覚えているかどうか案内してもらおうかな。
カルロ : なっ なんで覚えてるんだ…
カルロ : あれから行ける場所も増えたがね。…それじゃあ先導する。
ロザーリオ : フフ、お願いします。
カルロ : (立ち上がり、エスコートするように)(ちょうど貴方の立ち振る舞いの見様見真似だ)
ロザーリオ : 傘を差す
カルロ : (傘の中に入った)
ロザーリオは[傘を差している]になった
ロザーリオ : どうも。意図がよくわかってるようで。
カルロ : ふふ。奥から行こうか。
ロザーリオ : ええ

墓地


『天落ちて還らず 私達の涙は此処へ』

『全ての雨は 何時か止む』

『愛するものへ』
カルロ : ……こっちには来たことある?(像を見上げながら)
ロザーリオ : お恥ずかしながら此処まで来た事はありませんで
カルロ : そうだったんだ。じゃあ案内してよかったかもしれないな。
ロザーリオ : ええ。最近は外を出歩くよりは依頼に出掛けることが多かったですし
カルロ : おれもすっかりだけどね…。 ここは墓地だったようで。
ロザーリオ : ならゆくゆくは世話になるかもしれませんね。……まだ当分は、そのつもりもありませんがね。
カルロ : そうだな……いつか終えるならこんな風なところがいいかもしれない。静かで、他の誰の手も届かないような場所。
カルロ : 忘れるくらいには先のことになるだろうけど。
ロザーリオ : 折角続きが出来て、それを楽しみに思えるようになったんです、選べる方が良い。可能な範囲で
ロザーリオ : 次に行きましょう。まだ忘れていても良い場所だ。
カルロ : ……うん…(少し泣きそうな目で、嬉しそうに微笑んだ。踵を返し、先へ)


赤と青の紫陽花が咲き誇っている。
カルロ : !…
ロザーリオ : おや
ロザーリオ : これは知らないな……紫陽花か……
カルロ : 咲いてる… 向こうもかな…
カルロ : !!
ロザーリオ : 花が……
カルロ : ……おれ、皆にさ、好きな花聞いてたでしょ
ロザーリオ : ええ。私も教えましたね。
カルロ : そう、ロザーリオはアスチルベの花だって教えてくれた。
カルロ : …紫陽花。おれの好きな花だ。
カルロ : 間に合ってよかった。
ロザーリオ : 色で意味が変わる。どれが好きなんです。
カルロ : ご覧の通りだよ。(雨を受けて咲き誇る、赤と青。)
カルロ : 意味は…そうだな、色々あるけど…。
カルロ : ……実を言うとそこまで考えてなくて、ただ長雨の中しゃんと咲く姿が好きだったにほかならないんだが…
カルロ : 今なら分かるかもしれない。
ロザーリオ : っふふ、聞いたのが意地悪くなってしまったかな
ロザーリオ : なら、教えてください。貴方の口から聞きたい。
カルロ : かなわないな… ……紫陽花は別名「極東のバラ」…
カルロ : …色変わりする様から「移り気」「冷酷」「あなたは美しいが冷淡だ」なんて言われるが
ロザーリオ : (興味深そうに貴方の語る様子を眺め、同じ花を見るように視線を花の方へと向け)
カルロ : 「辛抱強い愛」ないし「強い愛情」……
カルロ : …貴方みたいだと思った。
カルロ : (照れているのか視線を惑わせて俯いた)
ロザーリオ : ……なら、赤い紫陽花と同じように。これからも愛していますよ。
ロザーリオ : (そう言って視線を合わせるようにと一歩寄った、視線をこちらに向ければ笑う顔が見える)
カルロ : (顔を上げて、視線が交わる。見透かされているような、青を映す灰色。)
ロザーリオ : 見る物で、色の変わるような眼で良かった。同じ物を見ている気になれる(仮面の奥の瞳は確かに貴方の眼の青を映して)
カルロ : おれも。愛してる、ロザーリオ。(はにかんで笑い、戯れるようにそっと手に触れて指を絡める)
カルロ : ふふ。雨の日の空を浚ってきたみたいで好き。月も空も変わりやすくていけないと言うけれど。
カルロ : 名が変わろうと色を変えようと、本当のところは変わらないんだ。きっと。
ロザーリオ : ……なら、もう私の憂いの一端は解けていたな。他でもない貴方のおかげだ、カルロ。(傘を落とさないよう、左手で応じて、頬に軽く口付けた)
カルロ : (擽ったそうに小さく身を震わせて)…そのようで。知らず知らずのうちにね。
ロザーリオ : フフ、すっかり真似してるな。ずっとこうして居座っていそうになる、恋人には一度お暇して、案内人を続けて貰っても?
カルロ : …っと。分かった分かった。少し前ならもうよしてくれって言ってる場面だ。
カルロ : (赤らむ頬を冷やすように前へ)…順番…考えてなかったや…

時計塔


カルロ : なんだかんだ最初以来かもしれない…
ロザーリオ : あの時は塔で別れたんでしたっけね。
カルロ : (塔を見上げる)そうだったね。
ロザーリオ : もう一回登ってみます?
カルロ : ああ。なんだか懐かしい感じ。
……時計塔の中に入れるようだ。
……此処から一気に上へ上がれそうだ。
ロザーリオ : 駆けていけそうか
カルロ : ……変わってないはずだけど…初めてくる場所のようにも感じる…。
鐘の音が響く……。
ロザーリオ : 思い悩んだ時以来かも
カルロ : え……?
ロザーリオ : ダミアンと喧嘩をした時に。少しばかり考え事の場にしていたもので
カルロ : そうだったんだ。仔細は知らないけれど…随分仲良くなったよな。
ロザーリオ : まあね。今でこそ良き友人だと語れる仲だ。
カルロ : おかげで一時は妬… ……いや…うん、そのおかげでもある。名前で呼びたいと思ったのは。
ロザーリオ : なんだ、ロサと呼びたかったので?なんてね
カルロ : べ、べつに…
ロザーリオ : 後にして思えば、随分な告白でしたよアレは。名付けは魔術的にも意味を持つ。戦果としては、貴方を差し出す部分が多すぎて釣り合わない程だ。
カルロ : 少なからず責任を負わせることになるから…その…
ロザーリオ : 責任を負うつもりがあるから名付けたんです。此方も随分と入れ込んでいたらしく。
カルロ : ありがとう…言った通り、貴方が良かった。…引き留めていたかったんだ。幾ら差し出しても良いと思える。
カルロ : ……本当に嬉しいんだ。こうして分かちあっていること。
ロザーリオ : 貴方の期待に、それに答えたかったからと、これまでなら答えていましたが(勿体ぶるように、視線を鐘の方へとやって)
カルロ : (つられるように鐘を見遣った。もうじき止みそうな雨の雫が伝って、落ちる)
ロザーリオ : 私も、欲しかったんだと思います、もう一度と、まだ見ていたいと言ってくれる相手が。
ロザーリオ : …………改めて言うと飾りすぎている気もするな……(視線を彷徨わせた)
雨はまばらだ。
カルロ : ふふっ…案ずることはない、ちゃんと伝わってる。(あなたの手を取って、自身の心臓の上へ重ねるように導く。仮初の鼓動は、いまだ止むことはない)
ロザーリオ : それなら、これまでに語った台詞の、些細で遠大なそれら全てにも、今日この時のため、意義があったのだと驕ろう。(生きているかのように動く、その胸元へと手を重ねて。よく斬れる刃物に手を添えるようにと繊細な仕草でその鼓動を手で知覚する)
カルロ : ああ。長い、長い雨。降りしきる一滴の雫もまた地を巡り花を咲かせ天に還るように。貴方の眩い道程はまたとなく。貴き姿は変わらず愛おしい。…なんて。
カルロ : (そのまま糸を手繰る様に手を頬へと誘い、特別な意味を持たなかった指輪にそっと口づける)
ロザーリオ : 雨もじきに止む。先の道へと歩を進められるのは、貴方という”よすが”があればこそ。……と、
ロザーリオ : ……薬指にしてやった方が良かったかな(などと笑って、貴方へ贈った指輪を思い返した)
カルロ : ……い、良いんだよ…見た目だけではまだ少し不釣り合いなのは分かるし…尋ねられる度に惚気ることになるからこれくらいで…
ロザーリオ : 同じ場所にしたのは対等だからだ。……次は負けませんよ
カルロ : !……次も勝つから。
カルロ : 一生いられていけないな本当に…そろそろ行こうか。
ロザーリオ : ええ。積もる話が多すぎる。本当に
カルロ : ふふ。

ロザーリオ : そろそろ傘も不要かな。
ロザーリオ : 傘を差す
ロザーリオは[傘を差している]でなくなった
誰かが、此処で集めた傘のようだ。
[傘を差す]を忘れました。
カルロ : 初めて会ったのはここだったな。 (まばらな雨を見上げ)…そうかもしれない。
カルロ : 灯も戻したんだ。…綺麗に、よく見える。
ロザーリオ : (傘を閉じて、入口の傘立てへと丁重に置いた。日頃と違い今日は意義あって傘を差していた、最低限の感謝は示すべきだった)
ロザーリオ : 雨に濡れている灯を見るのもこれで最後かもな。
カルロ : …(普段なら放るところ、丁寧な所作にほんの少し目を瞠った)…また雨が降ることもあるだろう。
雨はまばらだ。
ロザーリオ : その時はまた戻ってきますか。
カルロ : (頷く。)名残惜しくなっていけないや。…思ったより気に入ってたみたいで。
カルロ : ……行こう。雨はきっともう、止むだろうから。
ロザーリオ : ええ。
ロザーリオ : 夜明け前までには、歩いて戻れない場所まで行っていそうだな


……。
ロザーリオが[雨が止む]を選択しました
カルロ : 慣れたことの筈だけど、なんだか…懐かしいような、…(地平線の先、雲の向こう側へ、視線を向ける)
ロザーリオ : 雨は、上がりましたよ。空が見える、(同じように空を見上げて、まがい物の黄金の瞳の奥にまで、夜明けの光が透る。今は此方も己の物だと思える気がした)
カルロ : ……(ぬるい涙が頬を伝った。眩しさか、嬉しさか、寂しさなのかは、上手く言葉にならないまま)
ロザーリオ : ……カルロ?
カルロ : ぁ……
ロザーリオ : 悪い出来事に涙する機会は幾度もあれど、美しい物の前で泣ける機会はそう多くはない。ただ、
ロザーリオ : 他に易々と見せたくはないな。おいで (抱き寄せるように手招いて)
カルロ : ……っ…(傍寄って、腕の中へ)(あまりにも綺麗だと思った。地下水のように込み上げる感情は、静かに、とめどなく零れていく)
ロザーリオ : (骨の身体は硬く冷え切り、誰かを抱き寄せるに足る物ではない、秘密を暴き立てられることにもなる、それでも今はそうしたかった) 空を、見て下さい。泣き止んでからでも良い。貴方が見たいと思うその瞬間に。
カルロ : …ありがとう…、大丈夫…嬉しくて、せつなくて、…どうしようもないくらい…言葉に尽くせなくて…
カルロ : それだけ…好きなんだ。誰よりも。何よりも。(涙を拭って、空を見上げる。貴方がそうするように。)
ロザーリオ : 私も、貴方が好きです。……ありがとう。(空を見上げる、眼に差し込む光が眩しかった、それで、それだけでは無いけれど、少しだけ泣いた、仮面の下で見えないのは幸いだった)
ロザーリオが[空を見上げる]を選択しました
カルロ : (言葉が自身の中に溶けて、熱い。雨は止んだ。眩しさに目を眇める。ひどく冷たい筈の、傍らの温度が心地よく染み渡っていく)
ロザーリオ : (夜は明ける。次に進む先を思うべきだ、だから一度幕を降ろして) では、次の仕事の話を、宿で打ち合わせておきますか。……フフ
カルロ : …ああ。(息を必要としないあなたへ、呼吸を分け与えるように口づけて、余韻の間を残さず一歩先へ、次の幕へ、踏み出していく)
ロザーリオ : ……っと、ああもう油断も隙も無い……(その呼吸があるからこそ、まだ生きているつもりで居られる、貴方を追うようにして踏み出した)
ロザーリオ : お疲れ様でした
[報酬袋] を手に入れた。