私のこの感情……否、感情にも値せぬ胸の深遠の澱みは、驟雨の後の水溜りに似ている。

潔く大気に散れば良い。
無遠慮に地を叩き、身勝手な足取りで過ぎ去っていく雨のくせに、その身を
名残らせ未だ消えようとはせぬ。

――――まこと、醜い。
潔く散れば良い。
時代は変わったのだ。
この手で変えたのか、誰が変えたのか、それとも予め決まっていた事なのか。

「眠れないのですか? 数でも唱えましょうか」
傍らで妻の慈しみ深い声がひとつ、ふたつ、と優しく私を慰める。

束の間この平穏な幸せに身を委ねようとして――お前にその資格があるのか、と心に俄か雨が降る。
逃れられぬ雑音よ。
終わりなき数の世界を永遠(とわ)と呼ぶなら、人の歴史は驟雨に過ぎぬというのに。

チキリ、と刀が啼いた。
見下ろせば、右手を柄に添えていた。
尖った神経に連動するように、私の体は無意識に得物を抜く。
昨日の友を斜めに斬り捨てた。
手向かう者は動けぬように脚を薙いで地に這わせた。
――――あれは、誰だ。

私の記憶か。
浅き眠りの夢の中で、私は私の姿を見遣る。
光を宿さぬ黒き双眸には感情の欠片も見えなかった。
否。
感情など予め持っていなかったのかも知れぬ。
――――それも、否。

人形であれと己に言い聞かせた、なればそれが感情だ。
殺める事に、もはや志は意味を成さぬ。
消える事を望むが思想か。
向かってくるな。
刃(やいば)を向けるな。
私に、貴公を斬らせるな。

――――お前は何故、生きているのだ。

ぴくり。
己の体の僅かな動きで目が覚めた。
格子の隙間、月影。
銀の粒子が私を照らす。
微かな寝息を立てる妻の青白い横顔が。
彼女の愛する百合の花に似て折れそうなほどに儚く細い首筋が。
私に生の意味を問う。

まだ、夜のうちだった。
目覚めても、夜のうちだった。

scenario

                    驟雨
朝だというのに、重奏を響かせる蝉の声が気怠い。
幾分湿気を孕んだ大気がより重く思えるのは、見上げる空に浮かぶ積乱雲のせいだろうか。
あの雲の下は嵐が起こっているという。

心地良い風を感じるにはまだ早い、真夏の一日。
蝉の声に急かされて、少しでも涼が欲しいと宿の扉を開いた。

アルマ
「いらっしゃい。今日も暑いですね」
ロザーリオ : ええ、そのようで。アルマ嬢。
カルロ : あ~……そうみたいだね。
依頼書だろうか。
憂うような瞳を手元に落としていたアルマが、直ぐにいつもの優しい笑みをこちらへ向けて声をかけてくれる。
新しい依頼かと問えば、頷いて用紙を差し出した。
ロザーリオ : 依頼のご用命でも?
カルロ : 何かある?
アルマ
「志士の地縛霊、それとリビングデッドが数体、だそうです」
ロザーリオ : 志士、ですか(合点の行かない表情で)
カルロ : ……志士の霊、アンデッド。
珍しい響きの言葉に顔を上げる。
この音は確か、遥か東方の言語ではなかったか。
ロザーリオ : カルロ、心当たりが?
カルロ : ン…極東のほうでは少々。高き志を持ち国や社会の為に身を尽くす武士のことを指す、そうな。
ロザーリオ : へえ。騎士みたいな。
カルロ : ……そうだね、こちらでいう騎士が近いかな。
志士。耳慣れない言葉だ……。
目標値:16 <= 3d + 知力補正 + ナレッジ
ロザーリオ:失敗・・(12)([6,6,1]-1)
カルロ:失敗・・(14)([1,3,2,6]+2)
カルロ : む
ロザーリオ : おやおや
アルマ
「私も志士と言うものを良く知りません……。
高潔な志を持つ異国の戦士の名称のひとつだそうです」
アルマ
「かなり前に、蝕の交わりで東方より流れ着いた方、とのことでした」
ロザーリオ : ふむ。流れ者か。なら同類かもしれません。
カルロ : ふうん、珍しいこともあるもんだ。
帰る道も分からぬまま、隠れるように人里離れた一軒へ居を構えることにしたらしい。
賃貸料だ、と相場以上の金銭を巻き上げて東屋を斡旋した商人が、
奥方が流行り病で帰らぬ人となったことを知り、
次いで主人が追うように亡くなったという噂を聞いた。
ロザーリオ : あくどい商売をやってらっしゃることで……
何か金目の物を残していないかと訪れたところ、
家屋へ入るや否や忌まわしき動く死体と遭遇し、
命からがら逃げ帰ったという。
カルロ : ……因果応報…。
咄嗟に落ちていた紙切れを掴み、ただでは帰らぬとしたのは商人魂の賜物か。
リビングデッドは、その身姿からして恐らく盗賊の輩だろう。
ロザーリオ : 転んでもただでは起きぬとするのは流石と褒めましょう。ええ
また、抜け目の無い商人のこと、その状況下でも二階の窓からこちらをじっと見つめる眼差しを捉えた。
――――間違いない、この射抜くような瞳は借主の男。
そしてその口元が僅かに開きかけたところを――――。
アルマ
「それが志士の霊魂のようです。
リビングデッドと違って希薄な雰囲気だったとのことで……」
カルロ : ははあ。
なるほどと頷いて、依頼主である商人が手にした戦利品について尋ねる。
ロザーリオ : なるほど、それで持ち帰った紙は?
アルマ
「東国の言葉に明るいお客様に読んで頂いたところ、日記の断片ではないか、と」
詩のようで取り留めのない、思いつくままに記されたそれは。
アルマが優しい笑みを見せながら、手記らしい端切れを冒険者らに渡した。
ロザーリオ : ん、どうも。
カルロ : どうもね。
アルマ
「奥様とのやり取りが見て取れるそうなのです。
きっと仲の良いご夫婦だったのでしょう。
断片過ぎて意味はよく分からない、とのことでしたが」
改めて依頼書に目を落とす。
『地縛霊、およびリビングデッド三体の排除。
家財等、値のあるものがあれば依頼主に渡すこと』
……追記は何とも調子の良い話である。
ロザーリオ : (肩をすくめてみせた)ちゃっかりしている
カルロ : (やれやれと息を吐き)全くだ。
アルマ
「一階は炊事場と卓、書棚。二階は寝台があるだけのお家だそうです。
探せばもしかしたら、日記の続きなど何か手掛かりが見つかるかもしれません。
ただ、ご覧になってお分かりのとおり、東方の文字ですので…」
ロザーリオ : 東方の文字であったとしても、地域性があるでしょう。用心するべきかな
カルロ : それなりにね。ま、多少は分かるかもくらいで。
読めるかどうか分からない、という懸念だろう。
それでも。
だからこそ。
志士の孤独を感じ取れはしまいか、と。
ひたむきな眼差しを冒険者に向けて。
ロザーリオ : あまり大きな期待はなさらぬよう。
アルマ
「どのような理由でこちらの世に留まって居るものか分かりませんが……
これ以上犠牲者が増える前に、」
カルロ : (薄く笑った)
アルマ
「どうかこの悲しみの連鎖を断ち切って頂けませんか……?」

ロザーリオ : お任せを。
ロザーリオが[依頼を受ける]を選択しました
よろしくお願いします、とアルマがほっとしたように安堵の表情を浮かべる。
カルロ : かしこまった。
アルマ
「志士さんは霊体ですので、もしかしたら物理的な物は何も受けつけないかもしれませんね……」
それは武器等による物理攻撃が効かない、ということでもあるだろうか。
カルロ : げぇ……
ロザーリオ : 困ったな。どちらも物理だ。
まずは志士についての情報を仕入れたいところだ。
アルマに頷いて、街へ出てみることにした。

 私のこの感情…否、感情にも値せぬ胸の深遠の澱みは、
驟雨の後の水溜りに似ている。

 潔く大気に散れば良い。
無遠慮に地を叩き、
身勝手な足取りで過ぎ去っていく雨のくせに、
その身を名残らせ未だ消えようとはせぬ。

 ――――まこと、醜い。

 潔く散れば良い。時代は変わったのだ。
 この手で変えたのか、誰が変えたのか、
それとも予め決まっていた事なのか。
「眠れないのですか? 数でも唱えましょうか」
 傍らで妻の慈しみ深い声が
ひとつ、ふたつ、と優しく私を慰める。

 束の間この平穏な幸せに身を委ねようとして
――――お前にその資格があるのか、と心に俄か雨が降る。
 逃れられぬ雑音よ。
 終わりなき数の世界を永遠(とわ)と呼ぶなら、
人の歴史は驟雨に過ぎぬというのに。

 チキリ、と刀が啼いた。
 見下ろせば、右手を柄に添えていた。
 尖った神経に連動するように、
私の体は無意識に得物を抜く。
 昨日の友を斜めに斬り捨てた。
 手向かう者は動けぬように脚を薙いで地に這わせた。

 ――――あれは、誰だ。
  私の記憶か。
 浅き眠りの夢の中で、私は私の姿を見遣る。
 光を宿さぬ黒き双眸には感情の欠片も見えなかった。
 否。
  感情など予め持っていなかったのかも知れぬ。
――――それも、否。

 人形であれと己に言い聞かせた、なればそれが感情だ。
 殺める事に、もはや志は意味を成さぬ。
 消える事を望むが思想か。
 向かってくるな。
 刃(やいば)を向けるな。
 私に、貴公を斬らせるな。
 ――――お前は何故、生きているのだ。

ぴくり。
 己の体の僅かな動きで目が覚めた。
 格子の隙間、月影。銀の粒子が私を照らす。
 微かな寝息を立てる妻の青白い横顔が、
彼女の愛する百合の花に似て
折れそうなほどに儚く細い首筋が、
私に生の意味を問う。

 まだ、夜のうちだった。
  目覚めても、夜のうちだった。
カルロ : こういう時に限って… まあ、剣で語らう以外に方法はあるやも。
ロザーリオ : (日記を適当にめくって、注釈が付いており判読それ自体には困難は無かった)所々知らぬ表現もありますが日記ですね。本当に。
カルロ : (横から日記を見て)
カルロ : ……だね。
ロザーリオ : (見えるように寄せてやってから、見たのを確認してから閉じた)行きますか。情報収集に。
カルロ : ……(どこか懐かしむような目で文字を追ってから、離れる)おう。
喧騒に紛れて焼き立てパンの匂い、花の香り、スパイスの香しさが漂う。
交易の街リーンで最も活気に溢れた憩いと生活の広場は、今日も沢山の人々が往来を行き交っていた。
眩しいのは日差しのせいばかりではない。
生を謳歌する者たちの輝きもまた、街に命を与えるのだろう。
カルロ : (眩しさに目を細めた)
ロザーリオ : 賑やかだな、はぐれないように。
カルロ : 子供じゃあるまいし。
ロザーリオ : もっと大人扱いして欲しかったですか?
カルロ : ばっ そりゃまあ……はいはい、行くよ。
ロザーリオ : まだ早い。とりあえずは街の人に聞くかな。
一際鮮やかで色とりどりの色彩が目に飛び込んでくる。
仕入れたばかりの品々を軒先に並べた花屋だ。
僅かの風に揺れる可憐な花弁に目を奪われて、次いで店先に集う人々の話し声に気を引かれた。
カルロ : (まだ早い、にはむっとしてみせたが、仕事中だと元に戻る)
町の人A
「そういえば最近、山の上のご夫婦、全く見なくなったわね」
町の人B
「あの、旦那さんが遠い国の人だっていう?」
町の人C
「ああ、奥さんが亡くなったとかで……旦那の方もそれきり見ないね」
花屋の店主
「ははあ、それで……以前は偶にこちらも覗いてくれたのですけれどね」
この話はもしや……?
目標値:8 <= 3d + ネゴシエーション
ロザーリオ:失敗・・(7)([1,1,5])
カルロ:成功!(10)([6,3,1])
カルロ : できたよ
ロザーリオ : おやおや
件の志士の話題ではないのか。
カルロが[志士について聞く]を選択しました
町の人A
「あら、何か?」
カルロ : もし。その人の名前は…
カルロが[志士の名前は?]を選択しました
町の人C「えーと、たしか……」
目標値:12 <= 3d + フォーチュン
ロザーリオ:失敗・・(9)([3,2,4])
カルロ:成功!(12)([5,3,4])
カルロ : できたよ
ロザーリオ : おやおや
町の人C
「大野さんっていったかな?」
町の人A
「そうそう、変わった名前だから覚えてるわ」
カルロ : ……大野。極東の姓だね。
町の人A
「他にも何か?」
ロザーリオ : 成程……(少し離れた位置で聞いていた、仮面の男は少し不審に映り過ぎる)
カルロ : 奥さんはどうだった?
カルロが[奥さんはどんな人?]を選択しました
町の人B
「奥さんは確かこちらの人だったはずよね」
カルロ : ああ、そうなんだ。
町の人C
「まだ若いうちから身寄りがなくなったとかだったような」
カルロ : ふうん……。
町の人A
「気づいたらあの旦那さんと一緒になってたわね。
身寄りがない同士、通じるものがあったのかもね」
ロザーリオ : へえ
カルロ : 身寄りがない同士ね…。
町の人A
「他にも何か?」
ロザーリオ : お二人の印象について伺っても?
ロザーリオが[夫婦の印象は?]を選択しました
町の人A
「印象ねぇ……ときどき日用品を買いに街に下りてくるほかは、滅多に見かけなかったから」
町の人C
「ああ、うちは畑仕事を手伝ってもらったことがあったな。
余り金は出せないって言ったんだけど、ふたりともよく働いてくれたよ」
町の人B
「ご夫婦とも静かな人達だったけど、仲はとてもよさそうだったわよねえ」
ロザーリオ : 円満ではあったらしいな
町の人A
「他にも何か?」
カルロ : なるほどな。
カルロ : こんなところか。特に町で恨みを…ってわけではなさそう。
カルロが[もう特にない]を選択しました
町の人たちは、いつの間にか別の噂話に花を咲かせている。
店前に並べられた花々を眺めやる。
嫋やかそうなもの、力強いもの、触れたら落ちてしまいそうな繊細なもの、花といっても実に様々な種類がある。
ロザーリオ : そうらしいですね。花でも買っていきます?
カルロ : (花に目を惹かれて、じっとそれらを眺める)
ロザーリオが[花屋を覗く]を選択しました
思わず目を奪われていると、店主がにこやかに声をかけてきた。
花屋の店主
「いらっしゃい、何をお求めでしょう」
ロザーリオ : ああ、どうも
ロザーリオ : 百合を一輪。飛び切り白いのが良い。
取引をしました。
花屋の店主
「ありがとうございました、またどうぞ!」
5ルド失った。
[純白の百合] を手に入れた。
カルロ : …彼女の愛する百合の花に似て。(諳んじて呟いた)
ロザーリオ : フフ、もしかしたら役に立つかもしれませんし。
カルロ : だといいね。花を手向けるのは西も東も時代も問わない。
ロザーリオ : っと、アレは例の商人でしょうかね
依頼主である商人は、話を聞きたいと訪れた冒険者を一瞥して、束の間、面倒臭げに顔を顰めた。
ロザーリオ : そんな顔をなさらないで。
カルロ : (僅かに呆れた溜息をついたが、すぐに直って)どうも依頼主。話を聞かせてくれるか。
手元の帳簿を畳むと「全く、最近は良い儲け話がなくて困る」と誰にともなく悪態をつく。
向き直って、取り繕うようなわざとらしい笑みが振舞われた。 
ロザーリオ : (同じく笑ってやって)
商人
「依頼は首尾よく進みそうですか? まぁ、進めて貰わないと困るんですがね」
カルロ : (思わず苦笑いした…)
ロザーリオ : フフ、どうでしょう。祈っておいてくださいな。
商人
「何の御用でしょう。手短に頼みますよ」

ロザーリオ : アレだけとは言いませんよね?まだ知っていますか?彼らについて。
ロザーリオが[志士とその妻について聞く]を選択しました

目標値:10 <= 3d + ネゴシエーション
ロザーリオ:失敗・・(9)([3,1,5])
カルロ:失敗・・(6)([1,4,1])
カルロ : む
ロザーリオ : おやおや
商人
「さてねえ、私は家を貸していただけですから」
ロザーリオ : 参ったな。つれない御方だ
カルロ : (わりと似てるな…)
商人
「何の御用でしょう。手短に頼みますよ」

カルロ : (尤も、建前だけだが)
ロザーリオ : いえ、もう一度聞いても良いですか?
ロザーリオが[志士とその妻について聞く]を選択しました

目標値:10 <= 3d + ネゴシエーション
ロザーリオ:成功!(18)([3,6,3,6])
カルロ:成功!(12)([4,5,3])
カルロ : できたよ
ロザーリオ : 造作もない
商人
「さてねえ、私は家を貸していただけですから」
ロザーリオ : ……
商人
「質素な暮らしをしていたということくらいしか、わかりませんね」
商人
「そういえば奥さんの墓はどうしたのかな……墓を買えるほど裕福には見えなかったのですがね」
カルロ : ……ふうん?
ロザーリオ : ははあ、それなのに墓でも?
商人
「まさか敷地内に埋めたりしていないだろうな……
もしそうだったらこう、お祓いとか?
いや、無駄金がかかるのは困るな……やむを得ないし、放置するしかないか」
ロザーリオ : 気にかかるところではありますね。そりゃ
カルロ : するにしても口にしないほうがいいかと。
ロザーリオ : これくらいかな。現地に行きますか?
カルロ : 行ってみるほかないか。
得た情報を頭で整理しながら、志士の家へと足を向ける。

ロザーリオが[行こう]を選択しました
風が益々湿り気を帯び、厚く重なり始めた雲が山道を往く冒険者の足取りを急かした。
一雨来るのかもしれない。
ロザーリオ : 一雨降るかな。
カルロ : (すん、と鼻を鳴らした)降りそうだね。
急がなければと顔を上げた先、漸く石造りの簡素な建物を目の前に認めた。
志士の借家で間違いないだろう。
ロザーリオ : 傘は持ち合わせていませんで。またフライデーに怒られるかもな
カルロ : まあ慣れてるでしょ。
ロザーリオ : フフ、そうですね
木々に囲まれた敷地、その建屋の奥に、一際立派な大木が見える。
人の生涯をただ黙して見守る古樹の姿は、志士たち夫婦に慈しみ、
或いは悲しみ、どのような感慨を与えたのだろうか。
暫く手の入れられた跡が無く、草木が鬱蒼と生い茂っている。
見上げる樹の雄大さに惹かれて、思わず幹に手を伸ばす。
何か物悲しいような気配を感じるのは気のせいであろうか。
ロザーリオ : どうです?
カルロ : ……。

目標値:15 <= 3d + 感覚補正 + パーセプション
ロザーリオ:失敗・・(14)([3,3,5]+3)
カルロ:成功!(15)([3,5,1]+6)
カルロ : できたよ
ロザーリオ : おやおや
風に揺れる葉音さえ遠くに感じる。
この木の下だけは、まるで世界から隔絶されたような静けさだった。
カルロ : ……。(幹に手を触れ、暫し目を閉じた)
回り込んだ木の陰。
足元の僅かな盛り土。
志士の奥方はきっと、ここに眠っているのだろう。
カルロ : ああ。
カルロ : ここにいるんだ。
ロザーリオ : 墓、ですか。
カルロ : そうらしい。
ロザーリオ : 依頼人はああ言いますが、墓荒らしの趣味はないな。
カルロ : そうだね。……せめて安らかだといい。
カルロ : 後で手向けておくか。(百合の花を思い浮かべた)
ロザーリオ : そうですね。
辺りが大分暗くなって来ていた。
雨が近い。
足元が覚束なくなる前に早めにリビングデッドと対峙しなければ。
ロザーリオ : 土がぬかるむ前に。
……!
カルロ : ああ。 ……
扉がいくらか開いている。
商人が慌てて出たというから閉める余裕は無かったのだろう。
ロザーリオ : ……失礼。
カルロ : ……開いてる…
ロザーリオが[警戒しながら開ける]を選択しました
感覚を研ぎ澄ませて慎重に扉へ手をかける。
と、同時に――――、

目標値:10 <= 3d + 感覚補正 + パーセプション
達成値:16([5,4,1]+6)
判定に成功しました
カルロ : できたよ
Round 1
ロザーリオ : フフ、飛び退いたのが仇だな。
ロザーリオ : まとまってる方を頼みます。
カルロ : ……優れた直感も良し悪しだな!
カルロ : そっち狙われるだろ、気をつけて。
ロザーリオ : ええ
ロザーリオ : チェインスラスト
踏み込み、一閃 達成値:18([5,5,2]+6)
ロザーリオは[4,2]へ移動した。
リビング・デッドに10のダメージ ([2,1,2]+9)
カルロ : 明鏡止水ッ!
一瞬の静寂。
カルロは[準備]になった
リビング・デッドは攻撃した。 達成値:12([2,3,5]+2)
ロザーリオに0のダメージ ([6]+3)
リビング・デッドは攻撃した。 達成値:7([1,2,2]+2)
ロザーリオに0のダメージ ([2]+3)
リビング・デッドは攻撃した。([4,4,4]) クリティカル!
ロザーリオに4のダメージ ([6]+3)
カルロは移動した。
カルロは[準備]でなくなった
カルロは[5,3]へ移動した。
ロザーリオ : チェインスラスト
踏み込み、一閃 達成値:13([4,2,1]+6)
リビング・デッドは防御した。
ダメージを2軽減! ([]+4)
ロザーリオは[4,2]へ移動した。
リビング・デッドに13のダメージ ([6,1,3]+9)
リビング・デッドは[重傷]になった
カルロ : 明鏡止水ッ!
一瞬の静寂。
カルロは[準備]になった
カルロ : 驟雨ッ!
一閃。 達成値:10([6,3,1])
カルロは[準備]でなくなった
リビング・デッドに23のダメージ ([1,1,2]+23)
リビング・デッドは[重傷]になった
カルロ : 明鏡止水ッ!
一瞬の静寂。
カルロは[準備]になった
カルロ : 驟雨ッ!
一閃。 達成値:8([4,2,2])
カルロは[準備]でなくなった
リビング・デッドに30のダメージ ([3,6,2]+23)
リビング・デッドは[気絶]になった
リビング・デッドは2回復した。  
リビング・デッドは2回復した。  
Round 2
ロザーリオ : 頑丈だな。とはいえ敵でもない
カルロ : ……杞憂だったか…
カルロは攻撃した。 達成値:7([2,1,4])
リビング・デッドは防御した。
ダメージを2軽減! ([]+4)
リビング・デッドに29のダメージ ([4,5,3]+23)
リビング・デッドは[重傷]になった
リビング・デッドは攻撃した。 達成値:15([4,6,3]+2)
カルロは回避しようとした。
カルロは回避した。 達成値:17([4,2,1]+10)
ロザーリオ : チェインスラスト
踏み込み、一閃 達成値:17([5,1,5]+6)
リビング・デッド : 絶対回避!
リビング・デッドは回避に集中した!
リビング・デッドは回避した。 達成値:110([1,6,3]+100)
ロザーリオは[4,2]へ移動した。
ロザーリオ : っと
リビング・デッドは攻撃した。 達成値:8([1,3,2]+2)
カルロは回避しようとした。
カルロは回避した。 達成値:20([5,2,3]+10)
リビング・デッドは2回復した。  
カルロ : む
リビング・デッドは2回復した。  
Round 3
カルロは攻撃した。 達成値:12([1,5,6])
リビング・デッド : 絶対回避!
リビング・デッドは回避に集中した!
リビング・デッドは回避した。 達成値:113([5,2,6]+100)
リビング・デッドは攻撃した。 達成値:19([5,6,6]+2)
カルロは回避しようとした。
カルロは回避した。 達成値:25([5,6,4]+10)
カルロ : 悪足掻きを。
リビング・デッドは攻撃した。 達成値:9([2,1,4]+2)
カルロは回避しようとした。
カルロは回避した。 達成値:19([1,2,6]+10)
ロザーリオ : チェインスラスト
踏み込み、一閃 達成値:17([6,1,4]+6)
リビング・デッドは回避しようとした。
リビング・デッドは回避した。 達成値:17([5,4,3,5])
ロザーリオは[4,2]へ移動した。
リビング・デッドは2回復した。  
リビング・デッドは2回復した。  
Round 4
ロザーリオ : 本当によく足掻く……
カルロ : 落花流水ッ!
青い蝶が舞う。
リビング・デッドは3のAPを失った  
リビング・デッドは攻撃した。 達成値:15([6,5,2]+2)
カルロは回避しようとした。
カルロは回避した。 達成値:20([1,5,4]+10)
ロザーリオ : チェインスラスト
踏み込み、一閃 達成値:16([4,4,2]+6)
ロザーリオは[4,2]へ移動した。
リビング・デッドに18のダメージ ([5,2,6]+9)
リビング・デッドは[気絶]になった
カルロは攻撃した。 達成値:14([5,4,5])
リビング・デッドは回避しようとした。
リビング・デッドは回避した。 達成値:16([2,5,3,6])
ロザーリオは攻撃した。 達成値:16([3,1,6]+6)
ロザーリオはWillを使用した!
リビング・デッドに9のダメージ ([1,3]+9)
リビング・デッドは2回復した。  
Round 5
カルロは攻撃した。 達成値:13([6,4,3])
リビング・デッドは回避しようとした。
リビング・デッドは回避した。 達成値:17([6,4,1,6])
ロザーリオは攻撃した。 達成値:14([1,6,1]+6)
リビング・デッドは回避しようとした。
リビング・デッドは回避した。 達成値:18([6,4,3,5])
リビング・デッドは攻撃した。 達成値:15([4,3,6]+2)
カルロは回避しようとした。
カルロは回避した。 達成値:18([2,5,1]+10)
リビング・デッドは2回復した。  
Round 6
カルロ : 落花流水ッ!
青い蝶が舞う。
リビング・デッドは3のAPを失った  
リビング・デッドは攻撃した。 達成値:14([5,3,4]+2)
カルロは回避しようとした。
カルロは回避した。 達成値:18([1,2,5]+10)
ロザーリオは攻撃した。 達成値:18([6,1,5]+6)
リビング・デッドの防御はAPが足りず失敗した。
リビング・デッドに9のダメージ ([2,2]+9)
リビング・デッドは[気絶]になった
動く屍はもはやただの躯となって、虚眼を空へ向けている。
ロザーリオ : よし。
カルロ : んし。
カルロ : 元盗賊なだけはある…死してなおも。
ロザーリオ : 思いのほか素早く動きましたね。
改めて扉へ手をかけた。
ロザーリオ : では行きますか
カルロ : ああ。
ロザーリオが[入る]を選択しました
外ではついに、ぽつりぽつりと雨が降り始めた。
扉を開けて直ぐ、熟れ過ぎた果実のような饐えた臭いが漂う。
入口傍にあった灯火を拝借して室内を見渡せば、灯りの届かぬ四隅が余計、濃い影に沈んだ。
恐らく盗賊が金品を探して荒らし尽くしたのだろう。
部屋は衣服や書物、紙片、食器の数々が散らばる酷い有様だった。
ロザーリオ : 金品は無いでしょうね。
カルロ : 荒らしつくされた後だな。
意を決して足を踏み入れる。
何かしらの手がかりや遺留品を見つけられないだろうか。
ロザーリオ : さて、何か見つかるでしょうか。
最低限の設備の炊事場だ。
調理器具などは放り出され、中には錆び付いているものもある。
小さな食器棚の中身はほとんど床に落とされている。

揃いの湯呑が落ちていた。
大きめの椀の方は、半分に割れてしまっている。
食卓の下、その足元に破れた紙片を見つけた。
拾い上げて眺める。
カルロ : …紙…
アルマから渡された志士の手記と同じ紙質であるように思えた。
記載された文字も恐らく同じものであろう。
ロザーリオ : 読めそうで?
カルロ : どれどれ…
カルロが[感覚で読む]を選択しました
感覚を研ぎ澄ます……
目標値:15 <= 3d + パーセプション
達成値:15([1,4,1,6]+3)
判定に成功しました
カルロ : できたよ
目が滑ることなく文字を追う。
研ぎ澄まされた感覚は己を裏切ることなく確かに応えてくれた。
妻が、死んだ。
 流行り病は呆気なく彼女を攫い、また私は独りになる。

 だが約束を得た。
 毎年、命日には彼女の墓標を百合の花で飾る。
 私は生きて行く意味を与えられたのだ。

業に惑い罪に怯え、
ともすれば死へと逃げ去ろうとする私の弱さを
妻はきっと叱っている。
 償いのために生きよと力付けてくれたのだ。

 何としても生きねばならぬ。

ロザーリオ : ……どうです?
カルロ : …(東の文字で綴られたそれを、読み上げた)だそうで。
ロザーリオ : (読み上げられたのに頷いて)毎年の弔いか……
カルロ : その本人も今や、だが。
湿気った書物が倒れた本棚の下敷きになっている。
綴りが解け、ページがバラバラになっているものもある。
読めるものは残っているだろうか
目標値:10 <= 3d + 知力補正
ロザーリオ : そっちはどうです?
達成値:11([4,2,6]-1)
判定に成功しました
カルロ : できたよ
散らばる書物を纏め上げようとして、掌に収まる程度の巾着を見つけた。
折り畳まれた紙片と、何れか見たことのあるような小さき鱗片が入っている。
カルロ : ……こっちにも…
カルロ : 百合の鱗片と…
どうか、許して下さい。

 私が死んだら、命日には毎年、
百合の花を飾って欲しいと願いました。
 貴方は、必ず、と約束して下さいましたね。
ロザーリオ : 手紙?
カルロ : 妻の遺書か。
 私は貴方に、ただ、生きていて欲しかったのです。
 贖われぬ罪の意識があったとしても、
いつか生きていればこそ感じられる喜びを見つけて、
自由になって欲しかった。
一度交わした約束の撤回は、きっと貴方はなさらないでしょう。
 
  だから、貴方に百合の鱗片を残します。
 毎年ただ自然に咲くに任せて、
約束を果たしたことにして頂きたいのです。

 死者に生かされる生ではなく、
新しい毎日を自由に歩いていける生を送って下さい。  

それが私の、本当の願いです。
ロザーリオ : …………
カルロ : ………
ロザーリオ : 良い妻に恵まれたらしいな。
カルロ : うん…良い奥さんだ。
乱暴に引きずり倒されたのだろう、脚は折れ、背もたれの部分も損傷が激しい。
ロザーリオ : ならその鱗片を埋めてやるのが一番良いかもな。
カルロ : ああ、そうしようか。 …
カルロ : 埋められていなかったことと大野の手記を見るに…
カルロ : すれ違ったようだけど。
ロザーリオ : そのようで。
目に留まる、それ。
職業柄、見るのは決して珍しいものではないが、快いものでもない。
手に取る。
白いモノ。
間違いなく人の骨。
ロザーリオ : 骨だな。
カルロ : ……ん…
全て揃っている訳でも無いようなのが、余計に物悲しい。
恐らく砕けて散っているのだろう。
大きさからして成人男性のものと思われた。
ロザーリオ : 全ては無いかな。男かと思います。
カルロ : よく分かったね… どうしてこんな…
それが一人分。
リビングデッドがここにいた経緯を考えれば、誰のものかは想像がついた。
ロザーリオ : 大腿の形状が違う、いや、それは良くて。
カルロ : へぇ? ……と…恐らくは志士、だが…
これが……因果応報、業の始末なのか。
ロザーリオ : ……
頭を切り替える。
手近にあった袋に集めて、紐で封を施した。
ロザーリオ : 二階を見ますか。
カルロ : うん。
志士の霊は二階に居るという話だ。
ロザーリオが[向かう]を選択しました
雷鳴が轟く。
暗い寝室に足を踏み入れた時には、外はもう激しく雨が降りしきっていた。
闇を背負って寝台の前に佇む志士の霊が、ゆっくりとこちらへ向き直る。
ロザーリオ : ……
射るような眼差し。
霊体の希薄さが、却って眼光の鋭さに凄みを増していた。
知らず緊迫する空気が擦り傷の熱のように、ひりひりと肌に痛い。
カルロ : ……
志士の目が構えるようにすっと細められる。
ロザーリオが[名を呼ぶ]を選択しました
確か、志士の名は……。
ロザーリオ : 大野、
ロザーリオが[大野]を入力しました
志士
「如何にも。私は大野、秀郷と申す。貴公の名も聞いて構わぬか。
……ここへ、何をしに来たのかも」
ロザーリオ : まだ正気を散らしては居なかったらしい。失礼を。
カルロ : …違いない、極東の武士だ。
やや片言の硬い喋りではあるが、こちらの言葉を話すことができるようだ。
こちらが蛮行の賊ではないと知って、大野は得心したのか一つ頷いてみせた。
細い記憶の糸を手繰るように、目を眇めて遥か遠くを睨み付ける。

ロザーリオ : ロザーリオとお呼びください。剣士です。
気がつけば、薄暗い寝室に佇んでいたのだ、と。
やがてゆっくりと口を開いた。

カルロ : (短く名乗って、霊の言葉に耳を傾ける)
大野
「例えようもない違和感であった……私は死んだはずではなかったのか、と。
霞む記憶を辿って、私は私の末期を思い出した」
 妻と同じ流行り病の熱に浮かされて幾日。
 どれ程の時間が過ぎたのだろうか、
  働かない頭を無理矢理に巡らせようとして、
階下の騒がしさに気を取られた。

  ナンニモネェナ、ナンデモイイサ、ナンデモイイカラウバッテシマエ 

  ざぁ、と不意の豪雨が私を支配する。
 他に一切の音も聞こえず、
熱の残滓で軋む体の痛みすらも他人事のように隔たれて、
ふと気がつけば足元に三つばかり骸がごろりと転がっていた。
ロザーリオは何も入力しませんでした。
 汚らわしい盗賊よ。
 だがそれ以上に汚らわしい、私のこの腕よ。

 ……また、雨が降っている。

 窓の外の光景か、私の心の裡なのか。
 荒らされた室内に散乱する手記や家財の数々が
昏い嵐の痕に見え、
限界を超えた体が悲鳴を上げるのにきつく眼を閉じた、
そのとき。
  ぐしゃり、という不快な物音と感触が私の足に纏わりついた。
ロザーリオは何も入力しませんでした。
 これが、因果応報か。業の始末なのか。

 動く屍が求める血肉を捧げて、
私の生の記憶はそこで途絶えた。
ロザーリオは何も入力しませんでした。
大野
「……その、はずなのに」
ロザーリオ : …………
カルロ : ……
末期以前の記憶が雨に煙るように遠い。
何かとても大切なことを忘れてしまったのだ、と語る瞳に焦燥感と深い悲しみの色が浮かんでいた。
大野
「教えてくれ、どうか。
私は知りたい。
思い出したいのだ……」
ロザーリオ : 重要な事を、お忘れらしい。
カルロ : ここに残したことか…。
大野
「死してなお、生に彷徨うそのわけを――――」
沈黙が降りる。
逡巡していると、遠い日の記憶を口遊む様に、大野が呟いた。
カルロ : …………
大野
「心に残る旋律がある……だがどうしてもぼんやりとしていて思い出せない……」
大野
「貴公は知らぬか……数え歌の始まりを、」
ロザーリオ : 数え、歌……まずい
カルロ : 数え歌。… ……
カルロ : (記憶の糸を辿る、ひとつ…)
カルロが[ひとつ、一日がまた廻り]を入力しました
大野が瞠目する。
ロザーリオ : よく覚えていましたね……
カルロ : (そっと、口遊んだ)
大野
「ああ……ああ、そうだ。
ひとつ、ひとひがまためぐり…ふたつ、ふみのねまちわびて……」
大野
「妻が歌ってくれたのだ。私は何故、これほど大事なことを忘れてしまっていたのだろうか……ユリ、お前のことを」
カルロ : ……どうして忘れてしまうんだろうね。
ユリ。
奥方の名前なのだろう。
愛しむように、何度も妻の名を呟く大野に深い悲しみの雨が降り注いでいるようだった。
ロザーリオ : ……どれほど大切にしていても手から落ちる記憶はある、か……
カルロ : ああでも、ちゃんと思い出せたじゃないか…(どこか寂しげに、目を細めた)
だがそれは、優しい雨でもあるのだろう。
穏やかに笑む大野の閉じた眦に光るものを見た気がした。
散漫して曖昧だった記憶は、いまや大野の心に集まり、花開くように枷を解いていく。
男は、ついに呪縛から解放された。
大野
「感謝致す」
ロザーリオ : それはどうも。何よりで。
カルロ : どういたしまして。
心から思う。
心から、願う。
この短い言の葉に、思いのすべてが籠っている。
大野
「天上で待つ妻にも、今度こそ迷わず間違えずに、届けたい……」
ロザーリオ : そうなさってください。ぜひ。
カルロ : もう忘れないようにね。
大野
「――――ありがとう」
寝室の格子窓から、白い陽光が差し込んでいた。
あの激しい嵐のような雨もやみ、鳥のさえずりが朝の到来を告げる。
重なる蝉の鳴き声が今日もまた暑い一日を予想させた。
ロザーリオ : 夜が明けてしまったな。
カルロ : ああ、本当だ。
いつしか希薄な影となっていた志士の霊魂は、それでも確かな視線を冒険者へ向けると、深く深く、頭を下げた。
カルロ : (昇る陽の光に眩みつつも、礼を返す)
水溜りに、青空と七色の橋が映る。
木々は水滴を陽に煌かせ、いっそう緑を鮮やかにした。
ロザーリオ : 夜更かしさせてしまったな。これで大人扱いという事で構いません?なんて
カルロ : 有耶無耶になっただけじゃないか…もう…。
カルロ : (小さく肩を竦める)
足元に薄影が過ぎる。
仰げば、空の海を白雲の波を立てるように鳥がゆったりと渡っていた。
ロザーリオ : 違いない。
大野の遺骨を妻の墓の隣に丁寧に埋葬し、墓前に百合の花を手向ける。
儚い面影ながら馨しく生を謳歌する真白き夏の花。
凛として美しい。
カルロ : ……。
膝についた土を払って立ち上った。
百合の根片を植えるにはまだ些か早い。
大事に仕舞って、また時期に訪れる旨を告げる。
ロザーリオ : まだ植える時期ではないかな。手向けるだけにしますか。
カルロ : うん、また時が廻ったら。
優しい誓いを大野の元へ届けるように、羽ばたく鳥は虹の橋を目掛けて、高く高く飛翔する。
永い夜は明けた。
カルロ : ……(空を見上げて、その鮮やかな青を、鳥の飛んでいく軌跡を追う)
ロザーリオ : 置いて帰りますよ。カルロ。
カルロ : ――私の雨は未だ止まぬ、 ……
カルロ : っと、待って!行く!
雨は、上がったのだ。
幾歳の後。
旅の夫婦
「思わず足を止めたくなる美しさだな」
「ええ、本当に……疲れが飛ぶようですね」
古びた山の建屋を囲むように、沢山の百合の花が咲いていた。
種を落とし地に根付きやがて自生するようになった真白の花は、その凛とした香りを風に乗せて旅人の心を癒した。
夫婦は見つめあって微笑むと、どちらからともなく頷いて、また共に歩き始める。
その一歩は、明日への証。
生きることの、確かな証。

                                  END.

Extra Ending Title “とおで、永久の数え歌”
カルロ : さよならだけが人生だ
ロザーリオ : お疲れ様でした
[報酬袋] を手に入れた。