32/依頼、奢侈なる宿の調査依頼

アルマ:あら、その依頼が気になるの?
ロザーリオ : はい。目に入りましたので。
カルロ : ん、よろしく。
依頼書を持つ冒険者に、宿の主人が声をかける。
アルマ:リーンの宿屋からの依頼ね。
  ……言っておくけど、ここ、羊のしっぽとは別の宿よ?
ロザーリオ : おや、そうなんです?なら少し遠出ですかね。
カルロ : 宿、ね……。
カルロ : んま、でもリーンならそう遠くもないか。
アルマ:宿にまつわる、ある噂を調査してほしい、ですって。
  念のため、腕の立つ冒険者二名に来てほしいそうよ。
ロザーリオ : 二人なら丁度いいかな。
カルロ : いいタイミングだこと。
カルロ : また変な噂じゃねェといいケド……。
アルマ:噂の内容は書かれていないわ。詳細は現地で、ですって。
ロザーリオ : はい。なら現地まで伺いますか。
カルロ : ちょっと嫌な予感が… あ、ああ。
アルマは資料から顔を上げ、冒険者を見やる。
アルマ:あなたたちなら大丈夫そうね。受けてくれる?
ロザーリオが[受ける]を選択しました
受ける旨を伝えると、宿の主人の表情はぱっと明るくなる。
それから地図を取り出すと、冒険者に差し出した。
ロザーリオ : どうも。
カルロ : どうもね。
冒険者は [地図] を受け取った。
アルマ:その宿の場所が書いてある地図よ。
  リーンの中だし、すぐ着けると思うわ。それじゃ、お願いね。
宿の主人に見送られて羊のしっぽを出る。
さて、依頼の場所に向かおう。
地図に従い冒険者が辿り着いたのは、派手で豪華な内装のホテルだ。
……観光客、の中でも富裕層向けの施設だろうか。
カルロ : …………。
ロザーリオ : やたら豪華ですね。日頃なら無縁でしょうか。
カルロ : だなァ……豪奢なことで。
従業員:いらっしゃいませ、お客様。当ホテルへようこそ。
  ご予約はされていますか?
ロザーリオ : いえ、依頼で……
カルロ : (少々落ち着かない様子でロザーリオのやや後ろに控える)
ぴしりと服装を整えた従業員が近づいて、冒険者たちを出迎える。
恭しく礼をして……それから、客ではないと気が付いたのか、目を瞬かせる。
ロザーリオ : すみませんね、馴れていないようで。客ではないのです。
従業員:……いえ、失礼いたしました。冒険者様でございますね。
  どうぞ、おかけになってください。
カルロ : ああ。 …っかしいな、前はこんなこと別になかったのに。
ロザーリオ : 成長してるんでしょう?という事にしておきましょう。
カルロ : (小さく呟いて、すすめられた席につく)そう思っとく。
従業員に勧められたソファには細かな装飾が刻まれ、座面は柔らかい。
こうしてロビーに置かれているものでさえ、高級品であることが窺えるだろう。
従業員:少々お待ちくださいませ。責任者を呼んでまいります。
ロザーリオ : お願いします。
カルロ : …センセは慣れてるね。
ロザーリオ : まあそれなりに。こういう場面に出くわすこともありましたし。
カルロ : 場に違和感がない。…そ。
ロザーリオ : 大半の場面で、緊張しない程度には。
カルロ : それは舞台で?(ほんの少し表情を緩め)
ロザーリオ : まあね。
丁寧な一礼をして、従業員は離れて行った。
……
……待っている間、通っていく貴族らしきでっぷりとした男性、ロビーで談笑をする貴婦人……その他あらゆる場所から、冒険者に好奇の視線が注がれる。
……
カルロ : ……あんまり居心地はよくねえな…当然っちゃ当然だが。
ロザーリオ : 端的に言ってしまえば異物ですしね。
カルロ : 異物か……。
カルロ : 見かけなんざ見かけでしか、ないもんだが。
ロザーリオ : 適材適所です。あまりお気になさらずとも。
カルロ : それでも見たものに頼らざるを得ないね、人間は。 …ん。大丈夫。
待つこと少し。先程の従業員よりも年長であろう人物が現れる。
冒険者に恭しく礼をして、顔を上げてから口を開いた。
従業員長:大変お待たせいたしました。
  私が、今回の件の責任者でございます。
ロザーリオ : それはどうも。いえ、然程待っても居ません。蝶の羽ばたく一間というほどで。
カルロ : どうも。(いつもの調子に思わず微笑んだが、場の空気にぐっと堪えた)
従業員長は周囲を一瞥する。
……貴族たちの視線に気づいたのだろう、続く言葉は声を潜めて、
従業員長:……奥へご案内いたします。どうぞこちらへ。
ロザーリオ : フフ、その方がよろしいかと。そうしますか
カルロ : はいよ。
依頼の話は別の部屋で、ということらしい。冒険者は後に続く。
案内された先は、ロビーより落ち着いた内装の……しかし、狭くはない一室だ。
従業員長は静かに扉を閉める。
従業員長:お手数をおかけします。……ああ、どうぞお椅子に。
ロザーリオ : では遠慮なく。
カルロ : (椅子に座り…背筋を伸ばした)
冒険者に椅子を勧め、従業員長は立ったまま話し始める。
従業員長:今回依頼をさせていただきたいのは、当ホテルの噂の調査、解決でございます。
従業員長:噂の内容は、当ホテルとしては広めたくないものでございましたので、伏せた状態で依頼を出させていただきました。
  ……まずは、その非礼をお詫びいたします。
ロザーリオ : 悪評をみだりに広められては困るものです。構いませんよ。
カルロ : なるほどね。致し方あるまい。
従業員長:これより、順にご説明させていただきます。
従業員長は、手元の資料に視線を落とした。
ロザーリオ : では噂の内容からお伺いしましょうか。
ロザーリオが[噂の内容]を選択しました
従業員長:当ホテルが旧館から移動し、この建物が出来て間もない時分でございます……当ホテルに宿泊されたお客様から、ご連絡を受けました。
カルロ : 旧館から。
カルロ : こっちは新しいわけか。
ロザーリオ : ……つい最近のを思い出してしまうな。まあ続けてください
従業員長:そのお客様はお二人でスイートルームに宿泊されていて、朝目覚めると、一緒に泊まっていた方がいなくなっていた……と。
従業員長:自警団を呼び、捜索をいたしましたところ、その方は、当ホテルの隣、旧館で倒れているところを発見されました。
カルロ : ……(何とも言えない表情)
従業員長:……私共の立場では決して口にはできませんが、その方は酔われでもして、ひとりでに歩いて行かれたのではと、当初は考えました。
ロザーリオ : 普通ならばそう考えますよね。ええ
従業員長:しかし、問題は終わらず……その後、類似の案件がいくつも発生したのです。
従業員長:居なくなるのは決まって、二人組でスイートルームに宿泊をされた方、しかも、その片方だけ。そして、朝には旧館で発見される。……夜に見張りを立ててはみましたが、原因の特定には至らず。
ロザーリオ : それで二人で来いと。そういう話になったのですね。
カルロ : ふむ……。
従業員長:しだいに、「スイートルームに二人で宿泊すると、片方が幽霊に攫われる」……そのような噂が、お客様の中でささやかれるようになりました。
従業員長:今のところお怪我をされる方は出ていないので、それだけが不幸中の幸いでしょうか……。
カルロ : 幽霊に攫われる、か。
ロザーリオ : 妙な話ではありますね。
従業員長は、手元の資料に視線を落とした。
ロザーリオ : それで、手順はどうするんです?
ロザーリオが[依頼の手順]を選択しました
従業員長:問題を受け、現在、件のスイートルームへの宿泊は人数に関わらずお断りしている状態になります。
従業員長:そこで、冒険者様には、あえて二人組で宿泊していただきたいのです。……従業員も二人組で順に試しましたが、誰も、当時何があったかは覚えていないようでした。
カルロ : ふんふん……。
従業員長:冒険者様でしたら、何か私共と違った知見があられるかと存じます。この件に関し、原因を特定していただきたいのです。
ロザーリオ : 同じ状態で忘れてしまわなければ良いですがね。
従業員長:もし本当に幽霊の仕業であった場合。討伐、浄化のための道具をお部屋にご用意しておりますので、解決まで、お願いいたします。
従業員長は、手元の資料に視線を落とした。
ロザーリオ : 私からはこれくらいで。カルロ、気になるところは?
カルロ : 手が込んでるな。 して……報酬は?
カルロが[報酬について]を選択しました
従業員長:規定の通りにお支払いさせていただきます。
  また、今回の依頼に係る費用は、全面的にこちらで負担いたしますので、お気づきの点がございましたら、ご遠慮なくお伝えください。
カルロ : ……了解した。(儲かってはいるのだろう、目を眇めた)
従業員長は、手元の資料に視線を落とした。
ロザーリオ : わかりました。それくらいなら十分かな。
カルロ : こんなとこかね。実際に見てみないと。
ロザーリオ : ええ、では
ロザーリオが[質問を終える]を選択しました
従業員長:恐れ入ります。それでは、夜を迎えるまで、当ホテルでごゆるりとお過ごしくださいませ。
従業員長は扉の奥に姿を消した。
どうやら、ホテル内の施設は利用しても良いらしい。
夜になるまで見て回っても、さっさと休んでしまっても良いだろう。
ロザーリオ : 見て回ります?せっかくですし。
カルロ : そだね、こんな機会も滅多にないことだ。
クローゼットだ。書置きが貼ってある。

【ふさわしい服装をご用意いたしております】
【必要あれば滞在中ご自由にお使いください】
ロザーリオ : 服、着替えます?
カルロ : わざわざ……確かに目立つけどさ……。
ロザーリオが[中を見る]を選択しました
取引をしました。
[フォーマルな服] を手に入れた。
ロザーリオ : とはいえ合わせるにも微妙だしな。このままでも良いかもしれません。
カルロ : 何かあった時にいつものだと慣れてるしね。
ロザーリオ : ではそのままで。
フロントに移動しようか。
カルロ : ん。
ロザーリオが[移動する]を選択しました
カルロ : 広いな……。
ロザーリオ : 情報収集の一環です。あちこち見るだけ見ますか。
カルロ : オーケー。
ロザーリオ : ではバーから見ておきますか。まだ人も少ないように思いますし。
カルロ : 酒…いやいや、仕事中~… 行きますか。
バーラウンジに移動しようか。
ロザーリオが[移動する]を選択しました
ロザーリオ : 飲んでも構いませんよ?なんて
貴族は手の内でグラスを揺らしている。
ロザーリオ : もし、そこの方。噂についてお伺いしたく。
カルロ : それこそ酔っぱらってただけ、なんてなったら困るでしょうが。
ロザーリオが[噂について聞く]を選択しました
貴族:スイートルームの。ああ、噂くらいは聞いているがね。
ロザーリオ : 確かに困るな。
カルロ : (後について控える。動きだけはすっかり助手のようだ)
貴族:まったく、幽霊なんぞばかばかしい話じゃあないか。
  大方、逢引の口実か何かなのだろう?
ロザーリオ : どうでしょう。フフ……
貴族:社交場での出会い。配偶者の不貞。私も若い頃はよく引っかかって……ああ、悲しくなってきたぞ……
カルロ : おじさん苦労してんだナ……
ロザーリオ : 何となく気まずい話題を引いた気もしますね。ダミアンならもう少し詳しかったやも。
カルロ : 確かに。
バーテンダーは静かにグラスを磨いている。
ロザーリオ : 何か飲みます?
ロザーリオ : 飲まないと言ったばかりでしたけど。目の前にあると気になるでしょう?
カルロ : さ、さっきの今だけど!? そりゃ勧められたら飲んじゃうよ…
ロザーリオが[注文する]を選択しました
ロザーリオ : ソフトドリンクもありますよ。そっちにしても良いかもしれません。
取引をしました。
[ソフトドリンク] を手に入れた。
カルロ : 飲めるときに飲む主義だ。(手の平を返した!)
ロザーリオ : おっと、よく飲む……
カルロは、カクテルを使った。
くいっ…
カルロ : ん~…… なんか高そうな気は、する…!
カルロ : こういうのは雰囲気かもしれね…。
ロザーリオ : 人目人目。まあ、見た目なんかを楽しむとは聞きますよね。
カルロ : あっ。つい。 な、なるほどなぁ……。
ロザーリオ : 噂についても聞いておきますか。
カルロ : そだね、今のうちに。
バーテンダーは静かにグラスを磨いている。
ロザーリオが[噂について聞く]を選択しました
バーテンダー:……。
バーテンダー:…私はこのホテルが、現在の旧館で営まれていた時からバーテンダーを務めております。
ロザーリオ : へえ、長いんですね。
バーテンダー:旧館からの移動は、突然の決定でございました。
バーテンダー:……大きな声では申し上げられませんが……旧館から新館に変わったのは、旧館で何か問題が起きたからではないか。…私は、そう考えております。
ロザーリオ : おや、それは気になる話で。
カルロ : …急な移動……問題か…。
そこまで言うと、バーテンダーは口を噤んだ。
ロザーリオ : 教えてはくれないようだ。フフ、秘密主義なんですね。
カルロ : ふふ、あんたと一緒だね。なんて。
ロザーリオ : 秘密にする内容は選んでますよ。
フロントに移動しようか。
ロザーリオが[移動する]を選択しました
ロザーリオ : 中庭も見ておきますか。
カルロ : うん。
中庭に移動しようか。
ロザーリオが[移動する]を選択しました
貴婦人はにこりと微笑んだ。
カルロ : 庭も豪華なものだな…。
ロザーリオ : 噂について、伺っても?お嬢さん。
ロザーリオが[噂について聞く]を選択しました
貴婦人:ええ、知っていますわ。私、ここが旧館の頃から気に入っていて、よく泊まりますの。
貴婦人:旧館の頃はホールでダンスパーティが開かれて、とても賑やかでしたのよ。こちらに移ってからは、あまりお話を聞きませんけれど。
ロザーリオ : それは華やかでよいですね。
貴婦人:それにしても、幽霊だなんて。本当にいたら見てみたいものですわね。
カルロ : 案外近くにいるかもね。
若い従業員は冒険者に一礼をした。
ロザーリオ : 話は聞いてますか?噂についてお伺いしたく。
ロザーリオが[噂について聞く]を選択しました
若い従業員:ええ、お客様からお話しいただくことはありますね。
  ……私は勤め始めたばかりなので、よく知らないのですが。
若い従業員:根拠が示されたわけではありませんが、二人組を狙うのは幽霊の嫉妬だ、などと言われるお客様もいらっしゃいます。
ロザーリオ : なら妬けるほどの仲だと示すべきかな。
カルロ : そ、それはどういう……。
ロザーリオ : どうして欲しいです?
カルロ : ぁー…意地が悪い。やめやめ。
ロザーリオ : 冗談です。依頼ですよ。
カルロ : 分かってるって。
若い従業員:こういった噂話を、皆様、嬉々としてというか……ええ、客足が途絶えるよりは、有り難いことではあります。
ロザーリオ : まあ、盛り上がりますしね。この手の話って。行きますか。件の部屋に。
カルロ : みんな好きだねえ……。
フロントに移動しようか。
ロザーリオが[移動する]を選択しました
スイートルームで夜を待とうか。
ロザーリオが[移動する(進行)]を選択しました
冒険者は部屋に向かった。
整った室内に通される。ここがスイートルームだ。
ロザーリオ : やたら広いな……
カルロ : 広いな~…………
ここにある設備も自由に使用して良いとのことらしい。
準備が出来たら、宿泊客らしくベッドで休もう。
ロザーリオが[そうしよう]を選択しました
棚だ。装備や服や、荷物を収納できそうだ。
加えて、室内着なども置かれてある。
幽霊対策の道具が入っている。何か借りて行こうか。
取引をしました。
[聖なるナイフ] を手に入れた。
ロザーリオ : 幽霊退治の道具だそうで(聖なるナイフをかざして見せて)
カルロ : へぇ……西ではこういう感じなんだね。
ロザーリオ : そうなります。私には効きませんがね。
カルロ : (触って、目を眇め、確かめている)おれもだ。
カルロ : ……ああでも、ものは悪くねェな。
ロザーリオ : 持って行くだけ持って行こうかな。
広いテーブルだ。高級そうな酒などが置かれてある。
カルロ : 確かに刃に光の魔力が付与してある。この手の加工は難しい。
ロザーリオ : リーンでも日頃見かけない加工でしょう?
カルロ : ああ。他でも滅多にみねェな。
窓だ。閉まっている。
階下に見えるのは旧館だろうか。立派な建物だ。
ロザーリオ : さて、一通り見たな。休みますか?
カルロ : (窓から旧館の方を見つめ、あなたの方へ向き直った)ん、そうしますかぁ。
ロザーリオ : (寝台に座った)
カルロ : 落ち着かないなこれ……。
カルロ : ……(ぼんやり眺め)
ロザーリオ : もう寝ては?
カルロ : 良い子は寝なさいって?
ロザーリオ : それとも悪い子だから寝たくない?
カルロ : あは、どっちでしょうか。
ロザーリオ : 良い子なので寝てくれると。そう答えておきます。
カルロ : (くく、と喉を鳴らして笑う)じゃああと少しだけ。こうしていさせてよ。
ロザーリオ : 悪い子だな。
カルロ : あんたのせいだ。
ロザーリオ : 教育が悪かったかな。
カルロ : フフ、代わりに眠るから。おやすみなさい。
ロザーリオ : ええ、お休み。
夜を待とうか。
ロザーリオが[……]を選択しました
カルロは[休息]になった
ベッドだ。
ロザーリオは[休息]になった
夜を待とうか。
ロザーリオが[休む]を選択しました
冒険者は寝台に入り、夜を待つ。
高級な室内には物音が入らず、静かだ。
疲れが溜まっただろうか、冒険者は次第に眠りに落ちていくだろう。
……
カルロは[微睡み]になった
……ふと、静かな部屋で一人、カルロは頬に風を感じる。
そのまま、意識が引き戻される。
暗い室内に、気配が増えている。……傍に、女が立っている。
カルロ : ……?
ロザーリオは[金縛り]になった
カルロは[微睡み]でなくなった
カルロは[金縛り]になった
女:──………
女はカルロを見つめている。
未だ眠る冒険者にも、その場の全員に、冷たい圧力がかかった。
女がカルロの頬に触れる。
……生気の感じられない、冷たい手だ。
カルロは[催眠]になった
ロザーリオは[休息]でなくなった
女はカルロの手を取り、優雅に歩き出す。

もう一人の冒険者も、その異変に気付くかもしれない。
……冷たい圧力は、未だ重い。
ロザーリオ : っと……(意識を外していた此方はその姿を見とめ)
カルロ : ――、(手を引かれるがまま)
女:──………
女が何かを口遊む。そして、
ロザーリオ : 待て!
ロザーリオは[金縛り]でなくなった
……その場に、静寂だけが残った。
ロザーリオ : …………参った、寝ては、居なかったはずだ……意識の外……クソ。
ベッドだ。
部屋の出口だ。
ロザーリオ : 追いかけるしかないな……
ロザーリオが[部屋を出て追いかける]を選択しました
残された冒険者は、旧館へと向かう。
旧館に、女の声が響いている。
『ああ、私の王子様』
            『私、とても嬉しいの』
『また、会いに来てくれるなんて』
              『また、一緒に踊れるなんて』
『私、』
              『   』
『………』

『──ああ』
       『どうして、他の女と一緒にいらっしゃるの?』

女は、対する「あなた」の顔を見つめる。

『ああ……うつくしい、あの人のよう。』
『カルロ。愛しいあなた、』

        『光が私たちを分かつまで、一緒に踊りましょう。』
……女の言葉は、散漫だ。
カルロ
……
……カルロは、暗い旧館で、ぼんやりと、それを聴いていた。
カルロは[金縛り]でなくなった
カルロは[女の隣]になった
旧館についた冒険者は、
広場の中心にカルロの姿を発見する。
カルロ
……
こちらを向いたか、そうでないか……カルロが戻ってくる様子はない。
その傍らには、女が立っている。
ロザーリオ : 舞踏会には、間に合ったかな。なんて……
女:──……
ロザーリオ : 盗られたな。私が名付けてやったのに。
カルロ : (それは静かに、女の傍らに立っている。)
ロザーリオ : 此方の手で取り返すまでか。
女:──……
女は悲鳴を上げる。
ロザーリオに1のダメージ  
ロザーリオは[9,11]へノックバックした。
冒険者を拒むような、女の悲鳴が響き渡った。
ロザーリオ : ああよく叫ぶ。
瞬く間に、女は姿を消す。そして、
『怖いわ』
          『お願い、助けて……カルロ』
カルロは[冒険者の敵]になった
[“女の掌中”]を覚えました。
……声が響いた。
カルロ : ……。
……冒険者たちは、互いに向き合い、武器を構える。
ロザーリオが[……]を選択しました
Round 1
ロザーリオ : フフ、どうです?彼女の王子様を気取ってみますか、カルロ!
カルロ : (閉じた隻眼が開かれ、真っすぐにあなたを捉えると、切っ先を差し向ける。)
ロザーリオは移動した。
ロザーリオは[7,3]へ移動した。
ロザーリオは移動した。
ロザーリオは[7,3]へ移動した。
Round 2
ロザーリオ : 参ったな。手荒にする気は無かったんですが。
ロザーリオ : 無理に避けないことだ。加減はしませんがね。
カルロ : (いつもとは違う。獣のような、狩る仕草はなりを潜め、ただ仮面の奥を見据えた。)
カルロ : 明鏡止水ッ!
一瞬の静寂。([3,3,3]) ファンブル!
ロザーリオは移動した。
ロザーリオは[7,3]へ移動した。
カルロの驟雨は距離が合わず失敗した。
ロザーリオ : レイスラスト
構え、連撃 達成値:16([5,3,2]+6)
ロザーリオは[7,3]へ移動した。
カルロに13のダメージ ([2,2]+11)
カルロ : 未だ止まぬ、 驟雨ッ!
一閃。 達成値:8([1,5,2])
ロザーリオに3のダメージ ([1,3]+13)
ロザーリオ : チェインスラスト
踏み込み、一閃 達成値:12([2,1,3]+6)
消費SPを-2修整した。  
消費APを-2修整した。  
ロザーリオは[7,3]へ移動した。
カルロに20のダメージ ([1,4,6]+11)
カルロは[重傷]になった
カルロ : ハハ……ッ燃えてきやがったぜ……!
ロザーリオ : チェインスラスト
踏み込み、一閃 達成値:21([4,6,5]+6)
ロザーリオはWillを使用した!
消費SPを-2修整した。  
消費APを-2修整した。  
ロザーリオは[7,3]へ移動した。
カルロに24のダメージ ([3,6,6]+11)
カルロは[気絶]になった
カルロ : 覚えてろよォ……!!
──剣戟。二人の冒険者は交錯する。そして、
ロザーリオ : 悪いねカルロ。こうする段だ。以前の意趣返しというほどの事でも無い。お前の剣に、意思が無い。
カルロ : (血の混じった呼気が零れる。まるで生者のように、痛みに呻いた。)
催眠が解ける。勝負はついただろう。
カルロは[冒険者の敵]でなくなった
[“女の掌中”]を忘れました。
ロザーリオ : (呻くその身体を支えようと手を伸ばす)
カルロ : ああ――……(倒れる前に、その手に、支えられ)
──闇が晴れる。
ロザーリオ : お早う。というにはまだ早いかな。
カルロ : ……フフ、… 全く、眩しいこと。
女:──……!
ロザーリオに1のダメージ  
ロザーリオは[8,4]へノックバックした。
カルロに1のダメージ  
カルロは[8,4]へノックバックした。
女が広間に現れる。光を浴びて、悲鳴を上げる。
ロザーリオ : しまった。完全にのしてしまったな。加減が出来ないもので……
そして、それは、
女:──……
朝の光に混ざり、消えた。
ロザーリオ : ……終わりか。
カルロ : ……(寄りかかりながら、消える女の影を見届ける)
カルロは[気絶]でなくなった
ロザーリオ : すみませんね。酷い目覚めかな。
カルロ : っは……ぁ…… あはは……。
カルロ : ううん、嬉しかった。っていうのも変かもしれねェが……
ロザーリオ : おや。それなら良かった。
カルロ : あんたなら容赦なくやってくれると思ってたから。それに。
カルロ : 名前、取り返してくれて。かっこよかったよ、ロザーリオ。
カルロ : (騎士様にしては荒っぽいけどと付け加え、はにかんだ。)
ロザーリオ : 盗られて黙っておける程、欲の無い者でもないという事です。カルロ。
ロザーリオ : 戻りましょうか。
カルロ : そいつは嬉しいね。フフ。 ああ。
宿の方向だ。
ロザーリオが[報告に戻る]を選択しました
冒険者は明るい道を戻っていく。
冒険者は宿に戻り、報告をした。
ロザーリオ : そういうわけでして。
幽霊は消え、このホテルに騒動が起こることは、もうないだろう。
カルロ : いて……いや、まあ名誉の負傷というか……だけども~…。
ロザーリオ : 色々ありました。少しやり過ぎるくらいには。
カルロ : ともあれよかったよ。
ロザーリオ : それで、彼女はなんだったんです?
あの幽霊は何だったのだろう。
ロザーリオが[従業員長の話]を選択しました
従業員長の話によると。

旧館では舞踏会が行われており、男女の社交場になっていた。
……その中には、やはり、トラブルになった男女も少なくないらしい。
ロザーリオ : ふむ
今も昔も、スイートルームに泊まる客のプライバシーは断固として守られる。
従業員にその内情を窺い知ることはできなかったらしいが。
恐らく、あの幽霊は、待ち人に裏切られた末、ホテルに怨念を残していったのだろう──と、そういうことになった。
カルロ : はあ
二人客ばかりを狙うのは、想い人の面影を重ねたからか、
それとも、二人組が妬ましかったのか。

それは、知る由もない。
ロザーリオ : 妬けるくらいに見えてましたかね。
カルロ : 彼女のみぞ知るとこだな。
ロザーリオ : そうらしい。これで完了かな。
羊のしっぽに戻ろうか。
カルロ : ん。戻ろうか。……さすがに骨身に堪えるので。
ロザーリオ : やりすぎました。すみませんね。
カルロ : あはは、冗談。秘密にしとくから。
ロザーリオ : では二人だけの秘密ということで。
ロザーリオが[戻る(クエストクリア)]を選択しました
……ともあれ。冒険者は依頼を終え、帰路につくのだった。

「ある依頼」END

カルロ : さよならだけが人生だ
ロザーリオ : お疲れ様でした
[報酬袋] を手に入れた。