「故郷のお伽話」

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掲示板だ。
数人の書き置きが残っている。
イオラは鶏ハムと香草のサラダを作った。
イオラ : …(静かにサラダを食む
グレイ : (物音に視線を上げ)イオラか、お帰り。戻っていたのか。
イオラ : ん、んぐ。ただいま。起きてたんだな
グレイ : 少し考え事をしていてな。入口の方を見ちゃいなかっただけだよ
イオラ : そうか、アーサーも寝てるみたいだったし二人して長い昼寝でもしてるのかと思ったよ
グレイ : アーサーは昨日からだろ。僕はそこまで長く寝たりはしないよ
イオラ : 随分と長く寝てるな…
グレイ : ま、僕が見たのが昨夜だったから、起きて活動してからまた寝たのかもしれんがね。
イオラ : (顔を覗き込む)
イオラ : (頬をつつく)
イオラ : (つまむ)
イオラ : うーん、寝てるな…
グレイ : あまりちょっかい掛けてやるなよ。お前が寝てる時にやられるぞ
イオラ : ふむ…
イオラ : グレイって案外真面目だよな
グレイ : 僕はいつでも真面目だろうが……
イオラ : 最初はもっとひねくれた奴かと思ってた
イオラ : 変な笑い方してたし
グレイ : クク……そうかよ
イオラ : 真面目だって分かるとその笑いもエンターティナーっぽくて悪くないな
グレイ : 元々こういう笑い方なんだよ。あまり大人をからかうもんじゃあないぞ
イオラ : む……子供じゃ…いや、グレイから見れば子供か
グレイ : 20も越えちゃいないようなのは僕らからしたら子供に見えるんだよ
イオラ : 実際俺からも母親とそう変わらん歳のようにも見えるしな
ミコ : ただいま。
イオラ : ん、ミコか、おかえり
グレイ : む、おかえり
ミコ : (掲示板を確認すると、ひらと手を振っていつもの席へ)
ミコ : 何か話していたかな?お邪魔したならごめんね
イオラ : グレイがおもったより真面目な大人だという話をしていた
ミコ : 思ったより真面目な大人(発言を繰り返すとグレイの方を見)
グレイ : …………なんだよ(視線を避けるように少し椅子を引いた)
ミコ : …(ニコ!) 思ったよりかあ
イオラ : うむ
グレイ : 僕を何だと思ってるんだという話だよ
ミコ : わりと皆の話に乗ってくれたりはするよね、グレイ。判断もしっかりしてるというか
イオラ : 第一印象とは大分違ったんだよ
ミコ : 何だと…え?何かと思っていたの?(イオラに聞く)
イオラ : 確かに、わりとひとの身体の心配してくれたりするしな
イオラ : 第一印象だと森とかに住んでる子供を取って食いそうな魔法使いのような印象が…あったな
グレイ : 会話を遮ってまで無視したりするほど僕は不義理な人間じゃあないというだけだ
ミコ : 子供を取って……
グレイ : ……
グレイ : 取って食ってやろうか。イオラ
イオラ : やめてくれ 昔読んだおとぎ話を思い出す
ミコ : わあ悪そうな魔法使い。
ミコ : 昔。グレイに似た魔法使いが出るようなお話だったの?
イオラ : うむ…子供が日暮れに外で遊んでいると、痩せこけた怖い顔の魔法使いが家に連れて帰って食べてしまう…みたいな話だったな
グレイ : どの街にでもありそうな話だな。ま、実際子供が夜に出歩くのは危ない。道理だ
ミコ : 子供を怖がらせて出歩かせないようにするための話、ってところかな
イオラ : そんな感じだろうな。子供からするとただの怖いおとぎ話なんだが
イオラ : 今でも思い出すと少し背筋が寒くなる
グレイ : ハ、存外可愛げのあるところもあるじゃないか
ミコ : ふふ。つまりイオラはその話が怖かった…ってこと?
イオラ : …まあ分かりやすく言えば…そういう事になるな
イオラ : いや、それはいいんだ。だから最初は少しグレイにそんな印象があったってことだよ
ミコ : 少し意外かも。怖いものがあんまりなさそうに見えたから…と、成程
イオラ : 怖がる前に慎重なだけだよ
グレイ : 慎重なのは結構な事だな。それに越したことはないからな
ミコ : ふふ、成程ね。…確かに危なそうな話とかは慎重になるべきだものねえ
イオラ : うむ。俺には身を守る手段が逃げ足くらいしかないしな
ミコ : でも…話に出るくらいだし、実際そういう魔法使いが居てもおかしくなさそうだけれど。どうなんだろう
グレイ : どうだかな……僕の故郷じゃ悪い妖精に攫われる、だったぞ。そういう連中も居るのかもしれないが……
グレイ : 普通は痕跡を残したりしないだろうな
イオラ : 妖精の方が攫って行くのか……
ミコ : 悪い妖精かあ。
イオラ : あのちっちゃいのが…想像できんな
ミコ : 似たような話なのに妖精、というだけで大分変わったように聞こえるねえ
イオラ : うむ…
グレイ : 小さくても性悪だし、街に居るようなのは小賢しいのばかりだよ。あまり見た目で判断しない方が良いの典型だな
イオラ : ほう、グレイのところだと街でも見かけられるのか
ミコ : ふむ…?
ミコ : と、おや。おかえり
グレイ : そうだな。僕のとこだと街中の、それこそ暖炉なんぞにも……
ハイネ : そこそこ賑やかじゃないか、ただいま。
グレイ : (微妙な顔をした)……お帰り
イオラ : ハイネか、おかえり
イオラ : 暖炉の中にもか…なんだか寝ても覚めても妖精に見られてそうだな
ミコ : 暖かそうな妖精だねえ
ハイネ : ………ん、ああ。(鉄盾を置くと、水場に足早に歩いて行った)
ハイネはコーヒーを作った。
グレイ : 家なんぞを燃やす類のだ。あまり好ましい物じゃあないよ
ミコ : 燃やす。
イオラ : 燃やす
ハイネ : (カップを傾け一口啜ってから)………グレイが語り手ということは妖精の話か。
イオラ : うむ
グレイ : 僕のとこのリンギンベルはこれまで15軒は焼いてる。最悪だろ。
ミコ : ……多いね?
イオラ : ……多いな
ハイネ : 何でそんなのと仲良くしているんだ。
ミコ : リンギンベルって子の名前は何度か聞いたけれど……その話からだと暖炉の妖精ってことだよね。燃やすのが好きなの?
グレイ : 僕だってこんな性悪と付き合いたか無いさ。僕が見張ってないとまたやらかすだろうから渋々だな……
グレイ : 好きだろうな。火の妖精だしな
イオラ : ‥‥子守り?
ハイネ : 見張り、な。なるほど
イオラ : ああ、それだ
ミコ : (イオラの発言を聞いて)…要するに火を振り回している子供みたいな…?(小さく言った)
グレイ : 今は契約させてやったから大人しいもんだよ。暖炉の傍に座れだのうるさいがね
イオラ : ‥‥だから暖炉の傍にいつも座ってたのか
ミコ : それでかあ…
ハイネ : ま、御せていなければ人と違う存在とは付き合えんからな。
ハイネ : それか、ひたすらに機嫌を取るかだが、妖精相手だとそれは悪手なんだろう………聞いている限り。
グレイ : 調子に乗らせると余計にひどいことになる。
ハイネ : だろうな………。
イオラ : 匙加減が難しそうだな
ミコ : 損ねてもダメそうな感じがするけれど……難しいねえ…
グレイ : その辺りは妖精による……、話を聞いてやると付け上がるのも居るから本当に骨が折れる
ハイネ : 精霊相手だと、個人で契約して対等ということを示すか、国を代表して聖女が精霊の意思に沿って機嫌を取るか、だが………。
ハイネ : 流石に妖精相手に殴り合いはしまい。
ハイネ : グレイの契約はどういう形なんだ。
グレイ : 話して気に入る物をやる代わりに約束をさせる類のが多い。
グレイ : リンギンベルなら右眼をやる代わりに協力しろだとかそういうのだ
ハイネ : 対話からか。
ミコ : 右眼、……
ハイネ : で、それを注意深く聞かなかったり、相手が狡猾だったりすると、………というわけか。
イオラ : ふむ…
グレイ : 本当は空き家をやるつもりだったんだがね。突然話を変えられたもんで……
グレイ : ……チッ、話し過ぎたな(立ち上がって台所に向かった)
何か作ろうか?(無入力でキャンセルになります。)
ミコ : それで…… っと、ああ。(向かったのを見て)
ハイネ : 何かを代償に、というのは分かりやすいが、相手の匙加減でとんでもないことにされがちだからな、と……。
イオラ : 空き家から目玉に……
グレイが[紅茶]を入力しました

………
……………
グレイは紅茶を作った。
グレイ : (紅茶に口を付けた)
ミコ : うーん……妖精ってなかなか危ないものなんだねえ。
ハイネ : ……ま、人と生きている次元がずれているものとの契約は何であれ諸刃の剣だ。
ハイネ : 価値観も常識も全てと違う者と対等になろうとするんだぞ、商人相手に値切るのだって苦労するというのにな。
ミコ : 成程……
イオラ : 確かに…
ハイネ : ま………二人がもし何かと契約を結ぶとかはよくよく気を付けろということだ。
ハイネ : 眼帯を贈りたくはないからな。
イオラ : 契約か……よくよく気を付けておくよ
ミコ : ……うん(素直に頷いた)
ミコ : この前の…ほら、願い事の紙を取った子。あの妖精はすぐに約束してくれたけどな。ああやって素直に上手くいく方が珍しいのかあ……
イオラ : うむ…あれは随分と素直な方だったのかもな…
ハイネ : 特にミコは………なにか………変なツボを押し売りされるタイプというか…。
グレイ : そうだな。僕が依頼を受けたりしていたのは厄介なのが多かったというだけかもな。
ミコ : 変なツボ。
イオラ : 確かにミコは少し危なっかしいというか…人を疑う事を知らないというか…
イオラ : 素直すぎるというか…
ハイネ : 困っているといわれて契約書にサインなど絶対書くんじゃないぞ、いいな?
ミコ : ……(若干困ったように笑った)そう見え……る?
ミコ : …………(ちょっと間をおいてから)…うん…
ハイネ : 信じていないわけではないんだが……………ちょっと、な…。
イオラ : 心配ではあるな
ハイネ : グレイなんて契約書の誤字脱字まで指摘してきそうだ。
ミコ : ……
イオラ : 頼もしいな
グレイ : 普通は見るだろ
ミコ : あ、それは分かるかも…… 鋭いものね
ハイネ : 石橋を10回は叩きそうだという話をしているんだ。
グレイ : そこまで叩く必要は無いだろ。どんな目で見てるんだお前
ハイネ : 石橋を叩いてる間に船を乗り逃すタイプ、かね。
イオラ : ふ
ミコ : 乗り逃がしちゃうんだ?(グレイを見た)
グレイ : そんなヘマはしない……
イオラ : 電車は乗り逃したがな
ミコ : でん…?
ハイネ : ……………(目を逸らした)
グレイ : ……初めて乗る奴だったからどの時刻で出るかなんぞ知らん。迷い込んだわけだし
イオラ : まあみんなで乗り過ごしたしな
ハイネ : そもそもお前はそれ以下の問題だっただろ…(小声)
ミコ : 何かに…乗ったのかい?話しぶりからして皆初めての乗り物に乗ったということだよね
グレイ : 機関車かね、あれに乗った。話しか聞いたことは無かったから不思議なものだったな
ミコ : というか皆橋を叩いてる間に乗り逃がした側のように聞こえたけれど……
ミコ : 機関車……
ハイネ : 石橋を叩く以前の問題だな、あれは…。
ハイネ : 駅に止まるのが数時間単位おき、というのを誰も知らなかったんだ、叩いてすらいない。
ミコ : ふむ…ふむ?
イオラ : うむ、時間限定なのは惜しいがとても楽しい所だったぞ
ハイネ : ……………(イオラの言葉に頷くも首を振るも出来ずに黙った)
ミコ : …つまり皆楽しんだということだね?ふふ、良かったというべきかな。お土産話などあれば聞かせてほしい所だけれど
イオラ : ……
イオラ : (2人を見て)
グレイ : (視線を逸らして紅茶を飲んだ)
ハイネ : ……………(眉間を抑えた)
ミコ : …?
イオラ : 思い出話もいいが、ミコも実際に乗ってみたらどうだ?
ミコ : 実際に?
イオラ : 毎週末には来るようだし
イオラ : うむ、よかったら一緒に
ハイネ : そう、だな……話を聞くより、実際どんな列車だったか体験するほうが良いだろう。
ハイネ : あの町以外にも止まるようだし…。
ミコ : へえ……それなら是非行ってみたいな。止まる場所は分かるのかい?
イオラ : ああ、これだよ幻想観光特急テオドール号(パンフレットを出す
グレイ : リーンにはよくわからんが……僕は迷って行ったからわからん
ミコ : わ、ありがとう。…へえ……(パンフレットをまじまじと見て)
ハイネ : 七不思議めいた書き方だがね、…まあ実際その通りなんだよ。
イオラ : うむ、不思議は所は色々あったが問題なく乗れたしな
ミコ : ふふ、これは…とても楽しみになるねえ。覚えておくよ、ありがとう
イオラ : うむ。俺も楽しみだよ
ミコ : どんな場所だったのかは気になったけど…それも楽しみに取っておくね
イオラ : (頷く)
ハイネ : (……遅れて少し頷き、立ち上がった)
ハイネ : …さて今日は先に休むことにするよ。
ミコ : おや、お疲れ様かな。おやすみ、良き明日を
グレイ : そうかよ。おやすみ
イオラ : ああ、おやすみハイネ
ハイネ : ま、たまには早めの寝床も悪くないさ…お休み、ご先輩方。
ハイネ : (ひらと手を振って水場に向かう)
ミコ : (手を振り返して見送り)
ミコ : ……あ。ハイネのところにも似たような話が無いか聞いてみればよかったね(ふと思い出したように)
イオラ : ああ、そうだったな…ハイネの所だと精霊が…?うーん、今度聞いてみるか
グレイ : ん…、確かに聞きそびれたな。
グレイ : 案外素直に魔法使いかもしれんぞ。
ミコ : 似てるけれど悪いものが場所によって変わるってのも面白いし……魔法使い?
イオラ : うむ…なんだかハイネの国では随分と精霊が神格化されてるようだしな
ミコ : (話を思い出したように)…ああ。じゃあ精霊が…とはいかないか
ミコ : むしろそんな話をしたら罰当たりってことになりそうだ
イオラ : ふ、たしかにな
イオラ : ミコの故郷にはそういうおとぎ話とか昔話は無かったのか?
ミコ : ……どうだったかな。(一瞬困ったような顔をした後すぐに戻し)ええと……
ミコ : ……あ。外に出たら、悪い気のせいで魔法が汚れるとかそういう話はあった、かな…
ミコ : 私が実際出て、使えてるから、本当に嘘の話、っぽいけれど
グレイ : 汚れる?
イオラ : 悪い気……?
ミコ : うん……でも…あまり覚えてないから、あんまり参考にはならないかも……
ミコ : (言って立ち上がる)ちょっとココアを淹れてくるね
イオラ : ん、ああ
グレイ : 余り覚えてないというのならば……深く追求すべきでもないのかもな。
ミコは温めのココアを作った。
イオラ : …そうだな(言われた言葉を思い返し首を傾げつつ
ミコ : (席に戻りココアを一口飲み)
イオラ : まあ、おとぎ話なんて大人になって何度も読み返すなんてあまりないしな、うむ
イオラ : (すっかりぬるくなったジュースのグラスに口を付け
グレイ : ま、思い出したら聞かせてくれ。僕だけに喋らせてだんまりなんてのは不公平だろ。
ミコ : あはは、ごめんね。そうさせてもらうよ
グレイ : (立ち上がって杖を壁際から取った)
グレイ : アーサーが起きたら、こんなところで寝ていたらちょっかいを掛けられるぞと伝えてやってくれ。僕は寝るよ。
ミコ : …と。分かったよ。おやすみ、良き明日を
イオラ : ああ、おやすみグレイ
こちらは各部屋への通路のようだ。
部屋へ向かおうか?

Quest Link

望む夕明亭
Master/ancotrap様