「願いを書いた紙」

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エレシャ : お、よ〜ハイネ。賑やかだぜ〜。
イオラ : 気長に待つよ
アーサー : まァ利益は取るけどよ。報酬だってそりゃ欲しいし
グレイ : 今日も多いな。どうも。
ハイネ : ただいまだ。
ミコ : グレイも。こんばんは
アライア : お。グレイもだ おかえり〜!
イオラ : おかえり、グレイ
ハイネ : ん、なんだ集まるな。
アーサー : ようグレイも。おかえり
エレシャ : グレイもよっ〜〜。おうおう席が埋まるなァ〜
アーサー : 夜は集まるよな、それまではあんまいないけど
グレイ : (いつも座ってる席に座った)
ハイネ : ま、私は依頼帰りではないのでな。少し休憩したらまた出るつもりだ。
ミコ : 大体休む頃だから、かな
アライア : 昼間はみ〜んな働いてるのかも。っとと、ハイネは散歩かな
ミコ : おや、そうなんだ。
グレイ : そうかよ。
アーサー : 誰か呼ぼうと思っても中々会わなくて声かけらんねーし……お、そーか
ハイネ : 武器屋に目を付けていた装備が入ってないかと見たんだが、まだのようでな…。日銭を稼ぎにというわけだ。
アライア : ほうほうお買い物に。熱心だなあ
アーサー : いくら稼いでもたけーもんな装備……
イオラ : やる気満々という訳か
ミコ : ふふ。なるほどね。良い物はやっぱり高いよねえ
エレシャ : 装備新調はなァ、何回か依頼こなさないとだからなァ……
ハイネ : 金の大切さが身に染みるよ。軽い依頼でもこなしておかないと、いざ買うときに空の財布を持っていても意味が無いからな…。
ハイネ : ま、そういうわけなんだが
アライア : ほんとに。前で戦う人って治療代もかかりそうだし尚更大変そう〜
ハイネ : もし、ご先輩方が疲れていなければ共に依頼でも、と下心も持ちつつ来たというわけだ。
イオラ : ふむ、なるほど
グレイ : そうかよ。人の多い時で良かったな。
イオラ : それならば俺も一枚噛みたいところだな
アライア : 依頼かあ。確かにハイネの戦いは近くで見てみたいよな…
アーサー : なるほどねェ。手伝えんならおれもいきてーな
エレシャ : ほほうほうほう……誘いってわけかァ〜
ハイネ : ま、仕事とはいえ前衛は本当にな。
アーサー : んはは、見てみたいも分かるな
ミコ : おや。ふふ、確かに誘うには良い時だね。…私は休ませてもらおうかな。昨日共に行ったばかりだし、他に譲るよ
ハイネ : おや、誘いに乗ってくれる先輩方が多くて嬉しいな。
イオラ : ハイネが前に居てくれると安心して浄化にあたれるから助かるよ
ハイネ : ふむ、そうだな…共に行ったことが無いのは、アライアとアーサーとエレシャか。
アライア : アライアも攻撃なら出来る!売り込みをする
エレシャ : オレは人数に空きがあるなら行きてェかな〜。今んとこハイネ、イオラ、アライア、アーサー?
ハイネ : 売り込みは大事だな。
イオラ : その三人が行く気なら今日は自分も休むか。先程依頼も済ませたしな
グレイ : じゃ、あぶれたので他の張り紙でも探すか?
イオラ : ふむ、それも悪くないな
アライア : そう。依頼は戦い… おお!二班に分かれる
ハイネ : お、いいな。羊のしっぽも大喜びだ。
ミコ : おや?ふふ、確かに人数はいるし……それなら参加させてもらおうかな
アーサー : お、イイねーやる気
エレシャ : おっいいのかァ? もっと多人数でやれるヤツでもいいだろうけど……
エレシャ : へえ!二班もいいなァ〜
グレイ : 僕は今日は何もしてないんでね。たまにはそいつ以外と仕事をしたいわけだ。毎度ハイネと行くと疲れる。
ハイネ : じゃあ私と、グレイ班か。
ハイネ : 楽しいと言い間違えたことにしておいてやろう、グレイ?
アーサー : んははは。仲良くて何よりじゃねーか
アライア : 前に居る人が居れば心強いのに〜素直じゃないなあ〜
グレイ : (楡の長杖でハイネの頭を狙った)
ミコ : ふふ。
ハイネ : (シールドマスタリー!)
イオラ : すっかり叩き慣れてるな
エレシャ : おお〜仲良しの光景だなァ〜……
アライア : おおお始まった チャンバラが
グレイ : (カンッ!乾いた音が響いた……防がれた!)
アーサー : 阿吽じゃん
ハイネ : 防御も慣れたものだぞ。(ウインクしてみせた)
ミコ : 息が合ってるねえ
ハイネ : さてでは、こちらはアーサー、アライア、エレシャとでいいのかな。もちろん、そっちの班でもいい。
イオラ : そのコンビネーション漫才師でも副業で出来そうだな
アーサー : おうハイネ班! よろしくなーっ
ハイネ : 日銭に困ったらそうするか。
アライア : 以心伝心 っと、こっちは大丈夫!
グレイ : チッ……(杖を持ち直した)
アーサー : 副業の多い宿だなーココ
アライア : よろしくよろしく〜!
ミコ : ふふ、じゃあこちらはグレイ班になるね。よろしくね(グレイとイオラへ)
エレシャ : オレもオッケ〜!へへッ楽しみだぜ〜
ハイネ : ああ、よろしく。3人とも。
イオラ : ああ、よろしく。グレイ、ミコ
グレイ : ああよろしくな……
グレイ : ……(同じようなことを言ってしまったことに気付き微妙な顔をした)
ハイネ : ではそっちの武運も祈っているよ。行こうか、広場で集合しよう。(とハイネ班に声を掛ける)
ミコ : ふふ。
エレシャ : フ……
アーサー : 仲良しじゃん、そっちも頑張れよな
アライア : りょーかい!急ぎ急ぎ〜
アーサー : おう、じゃすぐあとで!
エレシャ : 了解〜!むかうぜむかうぜ〜!
ハイネ : はは、頑張れよグレイ隊長?
ミコ : そちらも。行ってらっしゃい(先に行くのを見送り)
グレイ : やかましい。さっさと行けよ
アライア : 行ってきます!
エレシャ : いってきま〜す!
アーサー : ます!
イオラ : ああ、行ってらっしゃい
グレイ : さて、僕らも出ようか。
ミコ : うん。(席を立ち)広場だね?
グレイ : (立ち上がった)
イオラ : うむ、了解した
グレイ : そうだ。準備は念入りにな。
ミコ : はい。
イオラ : ああ
冒険に出かけようか?
受付 : 行ってらっしゃい!頑張ってね。


冒険者は依頼書を手に取り、アルマへ差し出した。
アルマ : ああ、この依頼ね。
 南の小さな村からの依頼よ。
ミコ : ふむ。
アルマ : 村ではこの時期、何か特別な行事があるらしいの。
 その行事で使う備品がなくなっていって、困っているという内容ね。
イオラ : 祭りか何かか・・・?
グレイ : 魔物か何かに盗まれでもしたやら、だろうか
ミコ : 何だろう?なくなりそうな備品…
アルマ : 報酬は預かってるわ。詳しくは現地で話を聞いて頂戴。
グレイ : 現地か……ま、行ってみればわかるか。僕はそれで構わないぞ。
イオラ : ああ、俺も構わない
ミコ : はい。私も大丈夫だよ…と、それでは
ミコが[準備をする]を選択しました
アルマ : それじゃお願い。
 近くへの馬車がもうすぐ出るから、遅れないようにね。
ミコ : うん。(頷いて)
グレイ : ああ。
イオラ : うむ
アルマ : 行ってらっしゃい。気を付けてね。
冒険者はアルマに見送られて、宿を出る。
……さて、一仕事だ。
馬車で揺られること数時間。
到着した村は、随分と賑やかな風景だった。
広場にある木に、色とりどりの紙が吊るされている。
高所の紙の合間を、小さな妖精のようなものがくぐっていく。
ミコ : わあ。
イオラ : おお、これが妖精か…
グレイ : 目に見えるようなのは珍しいかもな。
ミコ : すごいねえ。木の方にもいろんな紙が…
……周りに集う子どもたちは、どことなく元気がなさそうだが、
それでも思い思いに遊んでいる。
紙をじっと見たり、そよ風に翻弄されるのを追ったり。
ミコ : ……?
イオラ : ふむ…?
グレイ : (紙を眺めていたが視線を子供に向けた)
冒険者は、手前の低木の一枚に目をやる。
そこには……『ごふ゛い んを やつつけ る  しでい』?
ミコ : ん…… ん?ごぶ…うん?
イオラ : しでい?
グレイ : ゴブリンをやっつける、じゃないのか
ミコ : ああ、なるほど。
イオラ : なるほどな
グレイ : しでい、は名前かな。
ミコ : サムの字に似てるかも。
イオラ : ふ・・・
グレイ : ああ、道理で……
そうこうしているうち、奥の建物から一人の青年が出、
こちらに近付いてきた。
青年 : こんにちは、旅人さん。……その身なりは、もしかして。
ミコ : と…おや。こんにちは
イオラ : こんにちは
グレイ : どうも。依頼で来た冒険者というやつだ。
ミコが[依頼を受けた]を選択しました
青年 : ……ああ、あなた方が。これは失礼しました。
青年 : 受けていただきありがとうございます。
 こんな田舎への道中は長かったでしょう?
 立ち話もなんですから、場所を移しましょう。
ミコ : うんうん。おや、ありがたいね
イオラ : ああ、助かる
グレイ : そりゃあ助かるな。馬車だったもんでね。
そう言って青年は別の建物へ歩いていく。
冒険者は、ひとまず後に続いた。
ミコ : (ついていく〜)
グレイ : (ミコに続いた)
イオラ (その後に続く)
小ぢんまりとした部屋だった。
青年は冒険者へ、ソファへ座るよう促す。
ミコ : (促されたので座り)
イオラ : 失礼する
グレイ : どうも(杖を立てかけて座った)
テーブルに人数分の紅茶が用意されると、
では、と切り出した。
ミコ : ふふ、ありがとう(話を聞く姿勢〜)
青年 : 改めて。私が依頼を出した者です。
 本日はよろしくお願いします。
青年 : さて、まずは依頼についての前に、簡単な説明を。
青年 : ……この時期、村は季節の行事で賑わいます。
 行事と言っても、紙に願い事を書いて木に吊るす、
 という簡単なものです。
ミコ : ふむ?ああ、だからあんなに木に紙があったんだね
グレイ : ああ、先ほど入り口で見たな。願い事なのか
イオラ : アレ全部願いぎとだったのか
イオラ (願い事)
青年 : 願いを託して心を軽くしたり、通りかかる度にそれを眺めたり。

 由来の記録は残っていませんが、
 毎年子どもたちは楽しそうに参加してるんです。
ミコ : ふむふむ、良いことだねえ…
グレイ : そういうものかよ。何か問題があるのか?
イオラ : ではさっきのゴブリンもか…
村の入り口で見た景色は、それだったようだ。
青年 : 私は村を代表する立場ではないのですが、
 今年の行事全般を任されていまして。
 そのため、依頼も私からという扱いになっています。
青年 : と、前置きはこんな感じで。
 ……しばらく前から、願い事を書いた紙が、どんどんなくなっていて。
 その原因の解明と、必要であれば犯人の対処までをお願いします。
ミコ : おや…
イオラ : 紙が…?特別な術式でもついてるのか?
グレイ : あんなに目立つ物なら減れば一目瞭然だな……
青年 : 確認すべきことがあれば、お話しましょう。
ミコが[なくなる詳細]を選択しました
青年 : 日にいくつかずつ、なくなっていきます。
 なくなる紙の色や内容に、共通点は今のところありません。
 私は、誰か盗人がいるだろうと考えています。
ミコ : うーん…?
ミコ : 内容は関係ないのかあ
イオラ : ますますわからんな・・・
グレイ : 目についた物から取っているのかもな
青年 : 最初のうちは、風で飛ばされたのかとも思いましたが、
 自然の要因はおそらく違うでしょう。

 と言うのも、紙を吊るしていた紐が、ちぎられているようなんです。
青年 : ……正体は掴めず、子どもたちは不安そうにしています。
 村人の大切な願い事とは言え、
 盗むような価値はないと思うのですが……。
イオラ : あまり気分のいい事では確かにないな
ミコ : うーん。大切な願い事を千切られたら確かにね…
グレイ : ……見ておけばそのうち盗られる瞬間に立ち会えるかもしれんな
青年 : 確認すべきことがあれば、お話しましょう。
ミコ : ああ、盗りに来るんだもんね。監視…ってやつかな
グレイ : そうだ。効率は良くないが、手っ取り早いだろ
イオラ : 有効そうだな・・・現行犯で捕まえられるだろうし
グレイ : それで、本当に心当たりは無いのか?
グレイが[心当たり]を選択しました
青年 : 犯人の目星は、今は全くありません。
 ……私も色々やることがあって、
 大した調査は出来ていないと言うのが本当のところなのですが。
ミコ : うーん。誰かは分からないのかあ
イオラ : まぁたしかに大変そうだものな・・・・・・
グレイ : 期待はしちゃいなかったが。わかったよ
青年 : かなり高い位置の紙もちぎられているのを確認しました。
 子どもたちの手段では届きませんし、
 大人なら、わざわざちぎらずとも紐を解くぐらいは簡単なことです。
ミコ : うん…?
グレイ : ……
イオラ : ふむ・・・?
青年 : 確認すべきことがあれば、お話しましょう。
ミコ : ……どういうことだろう?
グレイ : 人間の仕業じゃあないかもな。
ミコ : というと…
イオラ : 鳥とかが巣作りに持って行ったりとかか?
グレイ : 余り考えたくはないがその線もあるかもな。後は……妖精とかな(微妙な顔で)
ミコ : 妖精。
イオラ : そういえばさっきいたな・・・
ミコ : うーん。高い所を見ていた方がいいかな
グレイ : 面倒なことにならんといいがな……。
イオラ : ああ・・・
ミコ : だねえ。あとは……大丈夫かな?
グレイ : おい、報酬の話を忘れる気か
グレイが[報酬]を選択しました
青年 : 規定分は、そちらの宿に預けてあります。
 もし犯人と対峙して戦闘が起こるようなことがあれば、
 危険手当として追加もしましょう。
イオラ : 報酬の話しも先にしておいた方がいいんじゃないか?
ミコ : あ。なるほど 大事だねえ
イオラ : ふむ、危険手当付きか。悪くない
グレイ : 存外まともじゃないか。
ミコ : 助かるね〜
青年 : 確認すべきことがあれば、お話しましょう。
ミコ : 今度こそ、大丈夫かな?
イオラ : ああ
グレイ : 構わんよ。
ミコ : よし。
ミコが[……]を選択しました
青年 : お伝えするのはこんなところでしょうか。
ミコ : うん、とりあえず監視…だよね
イオラ : だな。すぐ見つかればいいが
グレイ : そうだな
ミコが[ばっちり]を選択しました
青年 : はい、それでは次は、狭い村ですけど案内でもしましょうか。
 現場は広場ですから、そこから……あ。
青年 : せっかくですし、冒険者さんたちも願い事書きましょうか!
ミコ : え?
グレイ : ハ?
イオラ : えっ
ミコ : うん…うん?
イオラ : 願い事を書いてはしゃぐような歳じゃないんだがな・・・
グレイ : ……同じくだ。
ミコ : あんまり思いつかないなあ…
ミコが[おかまいなく]を選択しました
青年 : そうしましょうそうしましょう。
 広場が賑やかになれば村人も喜びます。
ミコ : (あれ〜〜)
イオラ : 聞いちゃいないな
グレイ : おい、こいつ引き下がる気が無いぞ!
ミコ : あはは。書かなきゃみたいだね…
グレイ : クソ……仕方ないか……
イオラ : サムとかならよろこんで書きそうだけどな・・・
ミコ : ふふ、確かに
ミコ : ハイネたちの方だったらみんな願い事思いついていたかも
青年 : ああそれに犯人も、
 滅多に来ない冒険者さん直筆とあれば、
 欲しがってまた犯行に出るかもしれません。そうしましょう。
イオラ : 確かに
ミコ : …うーん?
グレイ : エレシャなんかは書くのに難儀しそうだな
ミコ : ふふ、踊りながら願い事を…… それにしても、欲しがるのかな
グレイ : こいつ、僕らに書かせたいだけなんじゃあないか……
イオラ : 絶対そうだろう
ウキウキと言うが早いか、依頼人は道具を取りに部屋を出て行ってしまった。
後には冒険者だけが残された。
……。
依頼人の意向ならこれも必要、なのだろうか。
ミコ : ふふ、まあ悪いことをしようって言われてるわけではないし…?
グレイ : 断ると面倒が増えそうだ……
イオラ : 素直に書いといたほうがいいか・・・
待つこと数分、何枚かの紙と、筆記具を持って戻ってくる。
青年 : はい、紙は好きな色の物を。
 筆記具も好きな物を使ってください。
ミコ : おかえりなさい。…おお?
依頼人はニコニコとしながら、一式をテーブルに並べた。
……こちらが書き終えるのを待つつもりのようだ。
ミコ : 色んな色があるねえ(色々ですね)
グレイ : 適当な事を書けるような空気じゃあないな……
イオラ : ああ・・・
ミコ : あはは、それにしても願い事かあ…どうしようかな
ミコ : (一枚紙と適当なペンを取って)
色とりどりの紙だ。
何と書こう。
イオラ : 願い…願い…
グレイが[弟の姿を戻してやりたい。]を入力しました
『弟の姿を戻してやりたい。』。
最後に、記名はどうしよう?
……書き終えた。
グレイ : 僕は書いたぞ(さっさと書いて紙を伏せて置いた)
ミコ : あれ、早いね
イオラ : 早いな
グレイ : 君らもさっさと書くと良い
ミコ : はい。うーん…じゃあ…あ、出来るといいなって…(何かを言いつつ書き)
イオラ : よし
ミコ : うん、書けたよ
グレイ : 全員書けたか。依頼人に渡しておけば良いのかね。
ミコ : かな?(提出提出〜)
青年 : ……ああ、終わったみたいですね。ありがとうございます。
依頼人は紙を回収し、机上の道具もついでに片付けた。
青年 : さて、それじゃまずは外の調査でもしましょうか。
 一番手がかりが残っているのは広場でしょうし、最初はそこへ。
ミコ : はい。
グレイ : ああ。わかったよ。
イオラ : ああ。やっとだな
そう言って、先導するように扉を開ける。冒険者も後に続いた。
食事時なのか、広場には誰もいない。
来た時とは打って変わって、静まり返っている。
ミコ : おや…静かだね
イオラ : 探しやすそうだな
グレイ : 都合が良いことで。だな。
青年 : まあ調査と言っても、大した物は特にないと思うんですが……。
ミコ : (木を見上げ)
ミコ : あ。本当に千切られてるねえ…
『金   ピエール』
『英雄になりたい』
紐がちぎられている……。
グレイ : 確かにちぎられてるのが所々にあるな
イオラ : ああ・・・根こそぎ千切られてるな
ミコ : 無事なのはまだ残ってるみたいだけれど…
ミコ : 殆どがとられちゃってる。なかなかの量になるよねえ…
イオラ : 毎日少しずつでもこの量となるとな・・・
グレイ : これだけ取っていかれたなら落胆もするか
ミコ : うーん。…(依頼人が追加の紙を括り付けてる様子をちらと見て)
『未だ知らぬ物語に出会えますように   アレックス』
紐がちぎられている……。
『眠い』
『酒をたらふく呑みたい   ベルトラム』
紐がちぎられている……。
紙のない紐がいくつか確認出来る。
既にかなりの量になっているようだ。
このまま放置しておけば、行事どころではなくなるだろう。
──と、その時。
風に吹かれる紙の間から、ひょこりと小さな妖精が顔を出した。
イオラ : おや・・・
ミコ : ……あっ(ふと視線を戻すと)
グレイ : む、あれは
青年 : うわっ。何ですか!?
小さな手を見れば、ちぎりたてらしい紙が数枚、握られている。
ミコ : あっ。
グレイ : (溜息をついた)
イオラ : グレイの予想が当たったようだな
冒険者のいる正面に出たのはうっかりだったらしい。
妖精は途端に慌てるような顔をして、
一気にスピードを速めて飛んでいく。
ミコ : ああ〜…(素早い)
青年 : あ! 逃げた!
ミコ : ……追いかけなきゃだよね?
グレイ : 追いかけるぞ!
イオラ : だな
ミコ : うん
ミコが[追いかける]を選択しました
青年 : と、止めてください!
ここで逃がせば手間になる。
見失わないうちに、冒険者は追って駆け出す。
青年 : お願いします!
既に距離の開いた遠くから、叫ぶ声が届いた。
すばしっこく逃げる妖精を追って、洞穴にたどり着く。
かなり浅い空間のようで道は狭く、すれ違って逃がすことはないだろう。
ミコ : (息を吐き)こんなとこまで来ちゃったねえ…
イオラ : 随分とすばしっこいな・・・
グレイ : ハァ……クソ、大分走らされたな……面倒掛けさせやがる……
……行く先にはカラフルな紙が落ちている。
今まで盗んだ分も、この洞穴に持ち込んでいるようだ。
ミコ : (辺りを見回す)……紙だよね?あれ(落ちてるのを指し)
イオラ : だろうな・・・こんなにかき集めて
グレイ : 気に入ったんだろ。大方。
ミコ : 色んな色があるから…?
イオラ : 犬みたいだな、妖精…
ミコ : (言いつつ進み)
ミコ : うーん…(拾い)
ミコ : 持って帰った方が良いよね。これ
イオラ : ああ、そのほうが子供も安心するだろう
グレイ : また下げる手間はあるだろうが、喜ぶんじゃないか。依頼人も
ミコ : 大事な願い事だもんね
紙が落ちている。子どもの字で、願い事が書かれている。
書いた本人にとっては大事な物だろう。
村に持って帰ることにした。
グレイ : 居るな。
ミコ : あれだねえ
イオラ : ああ・・・
グレイ : 準備は良いか?
ミコ : うん。
イオラ : 構わないよ
グレイ : じゃ、行くぞ
やたらと紙が積もっている空間に出た。今まで盗んだ紙全部だろうか。

犯人は、中央の紙の山に縮こまっていた。
妖精 : ウワッ! もう来た!
こちらの気配を察知すると、妖精は大げさなくらいに震えた。
ミコ : (振えている…)
ミコ : (震えて)
イオラ : 叱られた子供みたいだな
グレイ : フン、観念しろよ(杖を立ててわざと音を出した)
ミコ : さっきの柔らかいのみたいだなあ…
妖精 : 勘弁してよォー。みんな怖い雰囲気してー。
 僕が何したっていうのー。
ミコ : 何したって…うーん…
イオラ : 顔が怖いだとさ、グレイ
グレイ : その紙だ。紙(足元を指し)
グレイ : うるさい僕はもともとこういう顔だ…
ミコが[なぜその紙を]を選択しました
妖精は驚いたように、手に持っている紙を見返す。
妖精 : エッ? コレ?
 だってだって、毎日みんなが嬉しそうに結んでいくから、
 きっといいものなんだと思ってー。
ミコ : いいもの。確かに大切な願い事だけど…
グレイ : ほらな、妖精は碌なの居ないだろ
イオラ : 確かに…
妖精 : すっごくいいもの、持っていたら、きっと楽しくなれるデショ!
 だから怖いことしないでよォー。
ミコ : なるほど…?
イオラ : 妖精ってバカなのか・・・?
ミコ : でも、返してもらわないとなあ
妖精 : ネ、ネ、頼むよー。怒らないでよォ。
イオラ : 返してくれるなら手荒な真似はしない
グレイ : 価値観が僕らとは違うんだ。そういうもんだと思っておけ。
ミコ : そうなの?そうなんだ‥
イオラ : ふむ・・・
グレイ : とはいえ返して貰わないと困るのは事実だ。
グレイ : 殴ってわからせた所でまたやりかねんしな……約束でもしてやれば良いかもしれん
ミコ : 約束。ああ、約束事は破っちゃいけないもんね
イオラ : 妖精に約束は有効なのか、覚えておこう
グレイが[もうしないと約束させる]を選択しました
妖精 : ウゥ、ウゥー……。約束。
しばらくさめざめと涙の出ない泣き顔をしていたが、
やがて冒険者たちを見つめた。
妖精 : ウゥ、約束、約束しますとも。
 村のいいものは、取りません! ってコト。
 別の楽しいを探すヨ!
イオラ : おお、効いてるな
グレイ : ハ、言ったな。忘れないからな。
ミコ : うんうん、良かった
妖精は決心したように言い切る。
グレイ : ま、頑張れよ。
グレイが[頑張ってね]を選択しました
妖精 : ヨシヨシ! 僕、新たな旅へ!
 約束忘れないヨ。またね!
言い残すと勢いを付けて飛び上がり、冒険者の間をすり抜ける。
ミコ : わ
イオラ : ん
グレイ : もう大丈夫だろう。
妖精 : ウワーッ! やるぞー!
……機嫌の良さそうな気合の声を響かせて、洞窟からも出て行ったようだ。
ひとまず、依頼の件は解決と見ていいだろう。
依頼人の元へ戻ろう。
イオラ : 元気だな・・・妖精・・・
ミコ : だねえ。元気いっぱいみたいだし
広場には子どもたちが再び集い、活気を取り戻している。
冒険者は村の入り口で、依頼人からの見送りを受けていた。
グレイ : こんなにやかましかったのか、元々は……
イオラ : ふむ、もう大丈夫そうだな子供達も
ミコ : ふふ、賑やかだね。良かった良かった
青年 : 助かりました。
 子どもたちに笑顔が戻りましたし、大人も安心して過ごせそうです。
青年 : 今回は幸い、
 村で怪我人が出るような事態にはなりませんでした。
 しかし、また似たような存在が寄り付かないとも限りません。
青年 : そのときは是非とも、
 またあなた方に依頼をお願いしたいと思います。
ミコ : ふふ。だって(グレイへ)
グレイ : 余り面倒な物じゃなけりゃ受けてやるよ。
イオラ : よかったな、常連だぞ(グレイへ
グレイ : おい、君達もだぞ……
ミコ : (ニコ!)
イオラ : ふ・・・
青年 : 本当に、ありがとうございました。
そう言って、深々と頭を下げた。
ミコ : ふふ…叶うといいねえ、願い事。良き日々を
グレイ : じゃあな。
イオラ : ではまたな
青年 : 帰りもお気を付けて。
 ……よければ、またいらしてください。お仕事でなくとも。
青年が顔を上げたところで、
遊んでいた子どもの一人がこちらに駆け寄り、まとわりつく。
ミコ : あ。
イオラ : 宿の奴らを連れてくるのはありかもな・・・
グレイ : む……
子ども : ねえー、兄ちゃんたちも妖精さんとお話しよ!
ミコ : ……だって?(グレイへ)
イオラ : よかったな、子供には怖がられてないみたいだぞ
グレイ : (微妙な顔をしつつ)僕が仲良くお喋りするような奴に見えるのかよ……
ミコ : あはは。妖精の事ならグレイに任せれば間違いないかなあって
イオラ : 見えたのかもな
グレイ : チッ、そこまで言われちゃ引き下がれないだろうが……
青年 : あ、こら。まだご挨拶が済んでいないんだから。
 それに皆さんはお忙しいところを……。
申し訳なさそうな顔の青年をよそに、
子どもはこちらに人懐こくばいばいと手を振る。
ミコ : ふふ。(ひらと手を振り返して)
グレイ : (暫し考えてから少しだけ手を振った)
イオラ : (手だけ振り返し)
誰かが振り返したかそうでないか、そんな冒険者に対して、
子どもは無邪気な笑顔を浮かべた。

そのまま青年を、遊びの輪に引っ張っていく。
……依頼は完了だ。リーンに戻ろう。
ミコ : (青年たちを見送り)
グレイ : (帰りの便を待つ方へ歩いて行った)
イオラ : 次は他の奴も連れてくるか‥‥
ミコ : ふふ、うん、そうしよっか(ついていく)
掛けられたままの願い事が、こちらを見送るように、鮮やかに風に揺れた。
ミコ : 導きに感謝を、なんてね
グレイ : 簡単な依頼だったかな
イオラ : 怪我が残ってる者はいるか?

Quest Link

ある時季の調査依頼
Master/mlknnr様