「来年の夏には」

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掲示板だ。
数人の書き置きが残っている。
グレイ : (掲示板を見に向かった)
蓄音機だ。
今は「3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ」が流れている。
別の曲を流そうか?
グレイ : ん、アシュトンか。どうも
アシュトン : ああ旦那、ただいま。(手を振って暖炉の方に)
アシュトン : (適当な席に座った)いやあ、この時間なら誰かしら居るかとは思ったんだが、聞いた話じゃサムの旦那と案内屋はもう発っちまったらしい。
グレイ : なんだ。連中もう行ったのか。早い事だな。
アシュトン : そうらしい、寂しくなるな〜  ...と言っても案内屋は数日で帰ってくるみたいだけどな!
グレイ : ま、僕も今夜発つ予定だがね……、アシュトンも出ていく側だっけか。夜に出ていくんで良かったのか?
アシュトン : ん、まあそうだな。ハッピーニューイヤー!は言ってから出るつもりだけど。...旦那は?日付変わる前に出ちまうのか?
グレイ : 日付が変わるかそれくらいかねえ。夜道の方が都合が良いんでね。野盗なんぞの眼も誤魔化せるし、リンギンベルに頼めば寒さもまあ問題ない。
アシュトン : そうかい。いいねえ、寒さに困らんのは助かるな。ええと リンギンベル。
グレイ : 火の妖精なんだ。性悪だがまあ僕が死なん程度には協力してくれる
アシュトン : はは、性悪はともかく頼れるのは俺も知ってるよ。依頼で何回か火は見させてもらったしな。
アシュトン : 仲がいい...のかどうかは分かんねえが。付き合いはそれなりのように見えるし。
グレイ : 20年だ。よっぽどだろ。もうこいつの顔にも飽き飽きって程なんだ
グレイ : (小瓶を机に置いて見せた。少しつつくと匣の中のリンギンベルは瓶の中に姿を現すだろう)
アシュトン : 20年!そりゃあまた予想以上だな。....あ、そいつがそうなのか。(瓶の中のかわいらしい妖精に小さく手を振って)
グレイ : 当時は分不相応な物に手を出したと思っていたがね……、ま、役には立っているよ
アシュトン : はは、他人事かもしれんがちょっといいなあと思ったり〜....お、ハイネの旦那。おかえり!
グレイ : ああ、おかえり
ハイネ : ただいま、ご先輩方。
ハイネ : 流石に年の瀬だ、やたらに寒い……と、話の腰を折ったかね。
グレイ : 僕の妖精の話だ。大した話じゃあない
アシュトン : 気にしないでもいい、旅仲間の紹介してもらってたのさ。
ハイネ : へえ、旅仲間……って小さなお嬢さん方のことか、何だ驚いた。
グレイ : お嬢さんなんて呼んで調子に乗らすなよ……ただの性悪だぞ
リュシー : こんばんは!
アシュトン : 性悪ねえ〜、言葉とか聞いたことないし何とも....っと、おかえりリュシー。
グレイ : お帰りリュシー
リュシー : ただいま。外は寒いねー
グレイ : そりゃあな。冬場だからな
リュシー : いや、まあそりゃあそうなんだけど
アシュトン : はは、もう年の瀬だしなあ。
リュシー : 今年もあとちょっとねえ
リュシー : そういえば……アシュトンさんって来年はどうするんだっけ?
アシュトン : 俺か?まあ年変わるまではここにいるが....そうだな、夜のうちには発つかなあ。
リュシー : 夜に出発するの?大変そうねえ
グレイ : 僕も同じく夜に出る予定だ。ま、今日が最後だ
リュシー : そっかー。月をまたぐと色々ややこしいんだっけ
アシュトン : 一人旅だし明るくなってからでもまあいいんだが、なんとなく霧もいいしなあ〜と サムの旦那はもう出ちまったし
グレイ : それもあるし、僕は夜道の方が都合がいい部分もあるんでね。
リュシー : えっサムさんもう出ちゃったの?
アシュトン : ああ、ノートにそれっぽいのが(後ろのテーブルにあるノートを指して)
リュシー : うわー……挨拶も何もしてないのに
リュシー : ほんと……あまりお話もせずに行っちゃったなあ
リュシー : サムさんまだ似顔絵描いてなかったのに
グレイ : 思い出して描くにも手本無しは難しいんだっけか
アシュトン : ああ、全員描けてないんだったか。そうか〜....
リュシー : うーん、うーん……描けなくはないかもしれないけど……
リュシー : やっぱり細かい部分は曖昧になっちゃうから……
リュシー : サムさんってここに帰ってくる予定あるんだっけ?
アシュトン : あったかな....旦那のことだし帰ってきそうな気もしなくはないが....
グレイ : 遺跡を見たら戻って来るだの言ってた気はするがね
リュシー : そっか〜じゃあ帰ってきたときに会えたら頼んでみましょ
ハイネ : ……帰ってくる気もしない、というのが続く言葉だろう?(と目を開けた)
リュシー : あら、ハイネさん。おはよう
アシュトン : それはまあ まあな〜....旦那ああだし、それに...(言いかけてやめた)
ハイネ : 遺跡の依頼書を宿まで散らばせておけば釣れるかもしれんな、おかえりだ、ご先輩
リュシー : それに?
アシュトン : ...年の瀬にするでもねえ不吉な話だが、一応冒険者ってほら  死ととなり合わせではあるわけで。
アシュトン : ....まあ旦那のことだしただでは絶対に死なんと思うがね!大丈夫だって、すぐ帰ってくるさ。
リュシー : まあ、うん。そりゃあそうだけど……
リュシー : ま、帰ってくる気があれば帰ってくるでしょ
グレイ : 僕も月初めには一人くらい死んでるかもしれんだのほざいたが、全員生きてたろ。人はそう簡単には死なんよ
リュシー : わたしだって生きてるくらいだし、みんななら大丈夫じゃない?
ハイネ : ま、そうだな。サムなど刺しても死ななさそうな奴だしな……。
ハイネ : 一人先に出たというのもあのご先輩らしいよ、全く。
アシュトン : 違いない。死んでも死ななさそうなの何人かいるよなあここ
リュシー : それはいいことじゃない
リュシー : 自分で決めて冒険者を辞めるのが一番いいって思うの
アシュトン : そうだなあ、各々目的達成してきれいさっぱり足あらえりゃあ一番だよ。
リュシー : わたしはあと……5年以上かあ
アシュトン : 長いんだか短いんだか...他人事みたいなことしか言えんが、まあ頑張れよ。無理しない程度にさ。
グレイ : ま、そう簡単に済むんなら冒険者なんぞやってないだろ
リュシー : あはっ、そりゃあそうよね。こんな危険なお仕事なんだもの
リュシー : 誰が一番先に冒険者止めるのかしらねえ
アシュトン : 誰だかねえ。そもそもやめるつもりのあるやつがどのくらいいるんだか。
リュシー : そんなに続けたいものなの?
グレイ : さあな……
リュシー : わたしはお金がいるからやってるけど……危ないし、できれば続けたくはないなあって
アシュトン : やめたいか否かはともかくさ、やめられないやつだっていそうだな〜って思っただけだよ。止められんならその方がいい。
リュシー : ああ、そういうこと……
リュシー : そうね……わたしはお金だけだけど、もっと切実な理由があるのかもしれないのね
アシュトン : 目的を知らん奴ばっかりだから、憶測でしかないけどな。
リュシー : そうねえ……そのあたりのことは聞いてないし……
リュシー : そもそも、聞いていいものやら。どんな感じなのかしら?
アシュトン : どうだろうな、自分から話さないうちには、無理に聞くことでもないかもしれんが。
リュシー : ま、そうよね……聞かないことにしておくわ
アシュトン : まあ出てっちまう面々はともかく、宿にいればそのうち話すやつも出てくるだろうし...今はそれでいいんじゃあないか?
リュシー : そうね、無理やり聞くのもおかしいしそうしておくわ。ありがとう、アシュトンさん
アシュトン : ん、どういたしまして。(ふと時計を見て)...あと二時間か、そろそろ誰か帰って来る頃かね。
グレイ : 良い時間だものな
リュシー : どうかしら。年越しで依頼……わたしだったらしたくないけど
アシュトン : 依頼は俺も嫌だな〜 どっか外で迎えるやつはいるかもしれないけど。
アシュトン : せっかくだしできるだけたくさんの奴に会ってから宿出たいしさ。
リュシー : 帰ってきてくれるといいわねえ
ハイネ : アルマ嬢も年の瀬は更に忙しいだろうしな。
アシュトン : だろうなあ、依頼出すあの嬢さんも忙しいもんだ。
アシュトン : 俺もちょっと外出ようかな〜....今は話してるからいいけど、このままじゃ寝そうだ...
リュシー : ふふ、暖炉のそばだからね
グレイ : 確かにな。眠気も来るだろうよ
アシュトン : そうそう。あったかいとどうもな....30分だけ外出ようかな。すぐ戻る(そう言って席を立ち)
リュシー : うん、行ってらっしゃい。気をつけてね
グレイ : はいはい……僕も出るかね……
冒険に出かけようか?
ハイネ : 行ってらっしゃいだ。
アシュトン : んじゃあ行ってきます。日付変わる前には戻るけどな!
ハイネ : 待ってるよ、ご先輩。
受付 : 行ってらっしゃい!頑張ってね。
リュシー : わたしも、ちょっとだけ部屋に戻ろうかしら……

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望む夕明亭
Master/ancotrap様